こんにちは、富山人あるのんです。
皆さんは「名店」と聞いてどんなお店を想像しますか?
有無をいわせない圧倒的なクオリティの料理を出すお店や、代々受け継がれ長きにわたって愛されるお店など、名店の定義も色々とあると思いますが、今回ご紹介するお店もまた紛うことなき名店の一つに挙げられるでしょう。
酒飲みの琴線にふれること間違いなしのお店と確信しています。
ここでいう酒飲みとは単にお酒が好きというだけではなく、適度な場末感、お店の人やお客さんとの近い距離感、料理はおいしくて、独創性もあってリーズナブルという、わかる人にはわかる魅力に満ち溢れているのです。
七尾市今町 おでん小なみ
そのお店は七尾市今町にあります。七尾駅から歩いて10分くらいの距離かな。
「富山人がなぜ七尾へ飲みに?」と聞かれれば「仕事だったから」としか言いようがありませんが、数日間滞在するとならばそりゃもう夜は飲みに出るしかないっしょ!
七尾で飲み歩ける機会なんてこれからの人生でもそうないだろうと思ったとき、自ずと本業よりも飲み屋のチェックに気合が入るのは致し方ありませんよね。
七尾駅前をぶらつく「七ぶら」と洒落込んでみましたが、閑静な路地裏のようなところにポツンと飲み屋があったりして、海が近い港町特有の雰囲気が感じとれます。
GoogleMapを見ていて気になったお店の一つ「おでん 小なみ」。
「ママの手作りおでんが美味しいお店」くらいの前情報しかありませんでしたが、この年季の入り具合はただごとではありません。
座席はL字カウンターのみで、座れてせいぜい9席ほどの小さなお店です。
メニュー
メニューと言っても席にメニューがあるわけでもなく、あるのは壁にごく一部のメニューが貼り出されているのみ。
小なみのおでん
おでんのお店というだけあって、はちきれんばかりの蓋が今か今かと出番を待ちかまえています。
定番のものから「何これ!?」と思うこと必至のおでんダネが混沌と並ぶ様はもはや小宇宙。
おでん鍋は二槽式になっていて、左側は牛すじ専用エリアとなっています。
おでんに関しては特にメニューとかはありません。
「おまかせで」と伝えると「何入れる~?○○とかあるよ~」みたいな感じで、定番以外には何が入ってるかさっぱりわからん勢にもちょっぴり選びやすくなってるかな。
で、このおでん・・・ めっちゃうまいんだわ!!
どれもネタが大っきくて味が染みてて、富山じゃ見られないおでんダネが目白押し。
この牛すじも絶品!
大きくて柔らかくて味わい豊か。さすが牛すじ専用の層で煮込まれているだけあってその存在感はピカイチ。
いちいちネタが大っきいんですよ。しいたけ、すり身にウインナー。
里芋の大きさにも驚愕!大きながんもどきにも引けを取らないサイズです。
これはもう「小なみ」って店名は改めるべきかも!!?(褒め言葉)
バイ貝にわらび、そして真ん中のはママから「おいしいやつ」と言われて出されたもの。
練り物!!確かにこれはおいしいやつでした!
グルタミン酸の結晶のようなトマトのおでん。これもめっちゃうまし~!
小なみのおでんダネは常識にとらわれない自由さがとっても楽しい。
そして、この味を支えるのが小なみのオリジナル出汁。
このお店の出汁は富山で普通に口にする「醤油・鰹・昆布・みりん・砂糖」的な関西系の味とは一線を画していて、さっぱりしながらも具材と混じり合って奥行きのある味になっています。
小なみのおでんの薬味は辛子・・・ではなく、自家製の柚子南蛮です。辛みもありながら柚子の爽やかな風味がおでんの味を引き立てます。
このお店のおでんはぼくが今までに食べてきた中で一番好き。これは毎日でも食べたいですなあ。
濃ゆい飲料
ほう、濃いめのレモンサワーですか・・・
いや、濃いめってレベルじゃねえ!このレモンサワーめっちゃ濃いんですけどおぉぉぉ!!
芋焼酎ハイボール・・・これもめっちゃ濃ゆいいぃぃ~!!
確かに酒飲みは「アルコール度数が高いとちょっと嬉しい」マインドはあるかと思うんですが、にしてもこれは濃すぎ!
でも嬉しい・・・
酒飲みの急所を的確についてきます。
小なみの名物料理
タッパーに入ったどじょうさん。めっちゃ元気!!!
お客さんの入りとかお店の情勢でタッパーが移動するんですが、そのたびにビチビチビチビチ!と元気に動き回ります。
唐揚げにするときはは生きたままのどじょうを粉に流し込み、そのまま一気にフライヤーに投入します。
その際どじょうさんがビチビチと跳ねて床に落ちたりするのはご愛嬌。
うはっ!サクサクほくほくしておいしい~!!
言われてみれば、確かにスーパーでもどじょうは生きたまま売られていますね。
ホテルで一人滞在中のあるのん氏。
なんか隣の席の人に笑われました。
馬刺しも名物らしい。小なみの馬刺しは人気なのでわりとすぐに売り切れるとのこと。
そんなこと聞いたら食べないわけにはいかないじゃないですかああああ。
ちょっと解けたところで食べてみると、口の中でとろけるような食感がなんとも官能的。確かにこれはナイス馬刺しです。
居合わせたお客さんに他のオススメを聞くと、ところてんも名物とのこと。ところてんは大好きなので夏は積極的に食べる派。
それが「自家製のところてん」とあらば食べない道理などありませんよね。
心太突きから!?シブっ!!!
こ、このところてん・・・!!
まじりっけなしの純粋なところてん。ツルツルとしてなめらかな歯ざわりとぷっつりはじける食感がなんとも心地よい。
澄み切ったところてんを爽やかに彩るタレ。かつて夏が大好きだった子供の頃を思い出すような美しい味わい。
このところてんは今まで食べた中で一番おいしかったです。
小なみの名物はおでんだけでなく、意外なものも置いてあったりして我々を満足させてくれますが、そうは言ってもないものも時にはあるらしい。
なんか持ちネタの一つらしい(笑)
距離感
このお店の魅力に大きく貢献している要素の一つとして、「ママや周りのお客さんとの近い距離感」が挙げられると思います。
ママは快活そのもので、30歳でお店を始められてから今年で52年にもなるとのこと。
ママは御年82歳ということですがママは旅行好きで、お話を聞いていてもとってもアクティブに人生を楽しんでいるのが伝わってきます。
そんなお店なので、常連さんはお店が営業しているか満席でないかを電話で確認してきます。しょっちゅう電話が鳴っては「やってるよ~」的なやりとりが行われています。
そして、たまたま隣に居合わせた見知らぬお客さん。近所の人だったり、県外からの旅行者だったり、里帰りした人だったりと様々ですが、まるで顔見知りかのように自然に会話が始まるんですよね。
生まれも育ちも、仕事も住んでいるところもまったく関わりがないのに、このお店で同じ空間を共有しているというだけで自然に会話が成り立つのは、ママの人柄とこれまでに積み上げてきたお店の雰囲気があってこそのものです。
らっきょうも大きくて酸っぱうまくて最高~!芋焼酎ハイボールが捗ります。
これは地元では「みずぶき」と呼ばれる山菜。全国的には「かたは」というそうなんですが、富山人のぼくも聞いたことのない山菜です。
それゆえに富山からみずぶきを採りに来る人も多いそうですよ。
シャキシャキとした食感がなんとも心地よいんですが、このみずぶきは「ぬか漬け」にしてあって糠っぽい風味とほのかな発酵感があり酒肴としても抜群の戦闘力です。
え・・・!? あの・・・梅酒って・・・
ジョッキで飲むもんだっけ!?
・・・というツッコミはもはや無粋。
楽しければそれでいい。小なみではこれまでに培ってきた酒飲みの常識やプライドなど捨ててしまえ!
味の追求
厨房にはどう見てもただごとではないヤカンがチラチラして気になります。
このヤカンは家が不幸にも火事に見舞われてしまった際に近所の人からいただいたというもので、1つは50年もののヤカンになるそうです。
すぐゲスい発想になりがちなあるのん氏ですが、ヤカンが乗っている土台の部分は炭が仕込んでありまして、焼き魚などの焼き物はこちらで焼かれます。
なんていうか、失礼ながらパッと見だけの印象だと食べ物がボリューミーだったりお酒の味が濃かったりと大味なお店に見えるかもですが、実際はあらゆるメニューに味の工夫が凝らされていることが伺えます。
お客さんの誰かがが言いました。
確かにこれほどのお店なのでそれはそうかもしれませんが、よしんば同じ味にはならなくとも年月をかけて同じ味に近づけようとしたり新しい味を目指していくことはできるはずです。
この一言はママの味へのこだわりが垣間見えた瞬間のように思いました。
七尾に住みてえ・・・
昭和を感じる店内、こだわりの手料理、ママの人柄、周囲との近い距離感。
これらの要素が合わさって、まるで異世界の居酒屋に訪れたような不思議で楽しいひと時を過ごすことが出来ました。
近くにあったらめっちゃ通うのになあ~・・・
このお店にはまた絶対に行きたい!!そう思うほどにとっても魅力あるお店だったので、この記事にピンときたらぜひ行ってみるしかありませんよ!(その際は必ず電話で確認してくださいね)
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