こんにちは、富山人あるのんです。
せっかく福井に来たのだから福井のお魚もいっぱい堪能したい。できれば福井のうまいものをすべて食べ尽くしたい。
という無茶な野望を抱きながら、口コミの評判がやたらいいお寿司屋さんに行ってみることにしました。
初味寿司 本店
漂う老舗感・・・
予約なしの一見客とかでも大丈夫なのかしら・・・と思いつつ、まずはお店の前にあるボードをチェック。
メニュー
ほお・・・寿司以外にも色々あってこれは満喫できそう。
お値段は時価の要素もあると思われますがおおよその金額はわかるようになっているので、恐ろしい値段になることはなさそう。
暖簾をくぐって中に入ってみると、そこは入り口からお店の玄関まで続くアプローチとなっていて高級感を漂わせています。
カウンターに通されてまず圧巻だったのが直径約5mほどにもなる寿司ネタケース。このネタケースは先代のこだわりとのことです。
もはや地平線が見えそうなネタケースですがこの中は隙間なくネタが並んでいて、質の高い豊富なネタが存分に楽しめるというものですね。
生ビールは扱っていないとのことなのでまずは瓶ビールをば。
お通しはホタルイカの酢味噌和え。
ここでお店の人にぼくが富山人であることをお伝えしましたが、この時点ではまだ今期のホタルイカをそんな食べていないこともあってとても新鮮な気持ちでおいしくいただけました。
「とてもいいマツカワガレイがあるんですよ」と言われてマツカワガレイとはなんぞ!?ということで興味津々。刺し身に切ってもらうついでに盛り合わせにしてもらいました。
包丁さんの出動!!
マツカワガレイは知る人ぞ知る幻の魚だそうで「鰈の王様」と言われる高級魚様とのこと。
このマツカワガレイは北海道産とのことですが、北海道のマツカワガレイは「王鰈」(おうちょう)という名前でブランド化もされています。
肉厚な歯ごたえ、噛みしめることに滲み出る脂感とうま味、これはなんともゴージャスな味わいの白身魚ですなあ。
ちなみにマツカワガレイの名の由来は皮が松の木の幹に似ているからだそうです。
マツカワガレイだけでなくサヨリ、皮付きマダイ、マグロなど、どれもこれもが珠玉の味わいです。
サヨリは「春告魚」(はるつげうお)とも呼ばれていることを教えていただき、季節感が楽しめるのもまた味わいをひとしおなものにさせてくれます。
刺し身が出てきたということでまだビールも飲みきらないうちから日本酒へと移行していくわけですが、福井のお酒を色々飲みたいけどどれがオススメか聞いてみると──
お試しセットのようにして出してくれました。これはありがたい~!!!
名前は聞いたことがあっても、なかなか普段飲む機会のないお酒ばかりで嬉しいなあ。
そしてお次は旬の魚のから揚げ。
この日の唐揚げはメバル。身は食べやすく切れ目が入っているし骨までしっかり揚がっているのでバリバリといただけちゃいます。
身のホクホク感も最高なら骨の部分も味わい深くて最高オブ最高のおつまみです。
──ということでアイドリングは万全。いよいよシースーをベーターと洒落込みたいと思います。
- 盛り合わせ 1人前¥1,800
- 上にぎり 1人前¥2,800
- 特上にぎり 1人前¥3.500
この3種のメニューから選ぶのが良さそうですな。
ここはせっかくの機会なので特上にぎりをチョイス。
なんかもう見た目からして素晴らしいお寿司であることが伺えると思うのですが、食べてみてもやはり素晴らしいとしか言いようのないお寿司でした。
吟味されたネタと酢飯、適切なネタのサイズとシャリの量、そして口の中でほろっとバラけていく酢飯によって口内で静かに混ざり合って得も言われぬ至福の口福が広がっていくのです。
どれもこれもが素晴らしい技術だと思うのですが、酢飯をやたら固く握るお寿司も少なくない中、この絶妙な握り加減というのはやはりベテランの本職ならではだなあと思いますね。
飲み比べおかわり。
こちらは全部飲んだことのある銘柄。どれも好きだけど白龍が最近のお気に入りです。
さてと、まだお腹には余裕があるし何か追加で握ってもらおうかしら。大将におすすめを聞きながら作戦を練っていきたいと思います。
まずは水ダコ。
この瞬間までタコって平らに切るものだと思いこんでましたが、このような切り方もあるんですねえ。
切れ目が細かく入っているので食感もよく口の中で混ざり合う密着感が楽しい。
これはシンコ・・・ではなく、小鮎です。これは珍しい~!
これがまあなんというか控えめに言っても絶品で、一つ一つはこんな小さいのに味わい深さは抜群なものがあります。
酢の加減といい食べごたえといい、これはもう職人芸としか言いようがありませんね。
日本酒おかわり!
お次は白魚の握り。
ものっそい繊細な握り加減と味わい。これは箸ではなく手でいただかないとですね。
オススメというシマアジも。
数あるアジの中でも最高級品といわれているシマアジですが、この美しいフォルムと官能的なピンク色の身は見ているだけでも飽きさせません・・・まあとっとといただきますが。
いやこれむちゃくちゃうまいです。さすがキングオブアジ。
さらに調子こいて、魚の神の名を冠するノドグロにまで手を出してしまいました。
この脂感と炙った香ばしさによってとろけるようなおいしさに。
メニューには特に書いてなかったのですが、かんぴょうを単体でいただいてみました。
乾物の状態から水に戻してさらに煮込むということなのですが、大将から「この仕込みが一番手がかかっている」と聞かされて驚きを禁じえませんでした。
このような一見地味・・・と言っては失礼なのですが、目立ちにくい食材も手を抜かずに丁寧に下ごしらえをするという姿勢からも、このお店全体から感じる行き届いた仕事っぷりが伺えるというものです。
甘辛く煮られたかんぴょうはとても味わい深く、まさにお店の心が詰まった味といえるでしょう。
最後に、メニューを見てずっと気になっていたものを食べてみることにしました。
いなり寿司・・・なのですが──
これがいなり自体がしっとり濃いめでおいしいのですが、中はもっとすごくてとにかく具沢山で食感もシャキシャキしてるし他に例えようのない味わいのいなり司です。
これはもう「小宇宙的いなり寿司」と言っても過言ではないかと思いますが、人気メニューというのも頷くしかないおいしさでした。
どうもごちそうさまでした!!
おわりに
今年で創業59年になるというお店で、現在の大将は二代目とのことです。
大将も女将さんもすごく親しみやすい人柄でして、いろんな小話を交えながら教えていただきながら、おいしくて楽しいひとときを過ごさせていただきました。
特に印象に残っている話としては、ぼくが富山人ということで「鰤」(ぶり)繋がりから「巻き鰤」の話題になりました。巻き鰤ってどういうものかご存知ですか!?
巻き鰤とは塩漬けにしたぶりをわらで巻いて熟成させた発酵保存食品です。
以前お客さんから「巻ぶりを作ってほしい」というリクエストがあったそうで、本を見たり調べたりしてなんとか作ってみたら脂が多すぎて出来栄えはイマイチだったとのこと。
後でわかったのが良かれと思って脂の多い鰤を使用したのが実は間違いで、巻き鰤に使用する鰤には脂身の少ないものにしないとダメなのだそうです。
お客さんの割りと無茶振りとも思える要望にも真摯に応えようとした大将の気概がなんだか素敵だなあと思ったエピソードでした。
「初味寿司本店」はお寿司やお酒がおいしいだけでなく、県外からやってきた一見客のぼくにとってもとても居心地の良いお店でありました。
ゆっくりと流れる時間の中でおいしいお寿司をぜひどうぞ。
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