プロに訊いた!魚が半身にされても激しく動く理由とその処置法

ども、富山人あるのんです。

最近Twitterでは以下の動画が大きな話題になっていました。(音量注意)

既に半身に捌かれた魚の荒れ狂う様子が映された衝撃の映像ですが、最初見たとき「これ作り物じゃないのん!?」と思ってしまいましたよ。

子どもの頃に目の前でこんなん見たら、ショックで魚が食べられなってたかもしれませんね。

まあ多分食べるけど…(・∀・)

魚のことは、とるきちに訊け!

ということでこの動画の真偽を確認すべく、富山で魚に携わる仕事をされている我らがとるきちさんに見ていただきましたところ、以下のようなコメントをいただきました。

とるきち
ここまで活きのいいのは珍しいですが、ブリだけは〆て氷水に着けて血を出させて10分ほど放置した後でも突然暴れるように動き出すんですよね。他の魚は無いのですが。

あるのん
ほう、ブリだけとな

とるきち
業界ではなぜかこれを「死後硬直」と言いますね。死後硬直って固まることじゃ無いの?と思うんですが… ブリだけは死んだ後で一時的に飛び跳ねるように動くんで蓋を被せないとダメなんすわ

とるきち
なのでこの動画は非常に新鮮な状態で入って来たブリ(養殖)を〆て間も無く捌いた後って事になりますね。ただ見ての通り衛生上よろしくないですし、もっと魚を冷やさないとダメやんけ…と個人的に思います。

あるのん
こんなん子どもの頃に見たらトラウマになりますわ

とるきち
ウチの専門分野の人に見せてみたところ「神経抜きすればこんなことにならないのに」と言ってました。知らない人はビビるしかないですな…。

あるのん
神経抜き!?

とるきち
神経抜きとは脊髄に針金を通して強制的に身動きが取れなくした状態のやつをいいます。脊柱に針金をぶっさしてグリグリするわけです。運動中枢がぶっ壊れますよね。

しかしこれがまた面白いもので身は生きてるからか鮮度の持ちがダントツに違います。冷蔵庫に寝かせて三日経っても全く鮮度劣化してないみたい、という人までいます。

ここで気になったので早速youtubeで「神経抜き ブリ」で検索してみました。

お目当ての動画はすぐに出てきたんですが、ちょっとぼくのような素人には少々エグい映像だったのでここに貼る勇気はありませんでした。ごめんなさい。

動画ではしっぽに切れ込みを入れて、そこから長い針金を投入していました。

とるきち
例えば生きてる状態から、

手順①. 頭の後ろを指して血抜きをして即座に氷で〆ておく

手順②. 頭の首の部分だけを切って脊柱が見える状態にしてから針金を通してグリグリ、氷で締める

の二つで全く違うそうです。最近は熟成させた魚を扱うところも多いので神経抜きがよりニーズに応えられると思います。

ただめんどくさいんですよね。

とるきち
ちなみに、魚を血抜きせずに氷で冷やして〆ただけのを野〆(のじめ)といいます。

とるきち
更に上級者向けの神経抜きもあり、これは魚の額からダイレクトに脊柱に突き刺すというのもあります。魚の形状を変えたくない人向けですね。血抜きしないんで鮮度劣化しますけど。

あるのん
富山では手順①.の活け〆が多いんですかね?

とるきち
ほぼ①ですねー。富山はほぼ〆たその日に使うので神経抜きと差がないんですよ。

あるのん
言われてみればそうかw

とるきち
あと関東とかだと〆たその日ではなく、置いて熟成させてから食べる店が多いみたいですよ。関東の詳しい人と話してたら、北陸から西の刺身は固いだけで味がしないから美味くないんだよね、と言われてカルチャーショックを受けました

あるのん
コ、コリコリ感は新鮮な証じゃない……(小声)

とるきち
なお、鯛とかは天然だと〆たその日はゴムのように噛みきれず味もしませんので、出来れば氷で〆て釣った二日後とかに食べるのがベストですね。

とるきち
でもアジとかサバとか青物系はなるべく新鮮な方がいいですね。劣化が早いので。

とるきちさん、ありがとうございました!

ブリだけがこれほど激しく動くというのはちょっと不思議な感じがしますが、さすがは富山湾の王様といわれるだけのことはありますね。

氷見の寒ブリがあれだけ旨い理由には、この生命力の強さもあるのだろうかとちょっと思いましたね。

ということで、魚を一番美味しく食べる処置法をまとめてみると

脳殺!

瞬時に魚の動きを止め、暴れによる身の損傷を防ぎます。
釣り人がセクシーポーズをするという意味ではありません。

血抜き!

血が残っていると腐敗が進み、鮮度が落ちが早くなるため。

神経〆!

死後硬直を遅らせることで鮮度を保ち、身の引き締まった旨い刺身が味わえます。

冷却!

魚体の温度が上がると腐敗が進みやすくなります。しかし冷やし過ぎもまたいけないという。

獲った魚一匹一匹にこれらの手順を踏むというのはきっと大変な労力でしょうね。

これから旨い刺身を食べたときは「この身の引き締まり感は神経〆か……漁ちゃん、いい仕事してるぜ」と呟いてみることにします。

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コメント

  1. ゆうじろう より:

    とるきち氏のマジな凄さに軽くひきました(笑)

    • あるのん より:

      なんでやねんw
      おいしい魚はプロの知恵と技によって成り立っていたのです。
      敬礼!(`・ω・´)ゞ

  2. bokuchan より:

    こんばんは。大変興味深く読ませて頂きました。魚屋さんや観光魚市場に同じくらいのサイズと鮮度の魚が並んでいても値段が異なるのは「刺身でもいける」ものと「焼き魚や煮魚にする用」だと漠然と感じていましたが、捕まえた後にどれだけの手間をかけて処理したか?の違いなのだと改めて思いました。大変勉強になりました。

    • あるのん より:

      おはようございます。
      鮮度が長持ちする活け締めは知っていましたが、神経〆というのは今回初めて知りました。

      同じ朝とれでも売ってる場所によって値段も質も違ったりするのはそういうことなのでしょうね。

      観光地ですと何でもちょっと高めなので、観光地価格がプラスされている可能性は大きいとは思いますが。