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【10月末閉店】ゲームセンターハローワールドに思いを寄せて

富山からまた1店、老舗のゲームセンターがその営業を終えようとしている。

そのゲーセンとは富山市新庄にある「ハローワールド」である。

ハローワールドは2019年10月31日(木)の営業終了に伴い閉店となる。

ぼく自身ここ10年ほど訪れてなかったとはいえ、閉店の知らせに寂しさを感じずにはいられない。

こう書くと「なら普段から行っとけよ」という意見もあるだろう。しかし、いくら思い入れ深いゲーセンとはいえ、自分の遊びたいゲームが特になく、遊ぶ相手もいないというのでは継続的に訪れるのは厳しいものだ。

かつてハローワールドは格ゲーの鉄拳プレイヤーにとって特別なお店だった。

2007年当時、富山鉄拳界の重鎮であったマスター富山氏が鉄拳を引退するということで、その花道を飾るべく「マスターカップ」という大会がこのお店を舞台に産声を上げた。

マスターカップは富山に全国から最大500名近くの人が集るほどの大規模なイベントへと発展し、現在では会場を東京に移し鉄拳の大会としては世界最高峰のイベントとして広く認知されているところである。

ぼくとスト2との出会い

ハローワールドがこの場所でオープンしたのは1990年辺りになるそうだが、ぼくは1991年頃から友人らとともにハローワールドに通いつめることとなった。

それは、ちょうどストリートファイター2ダッシュが人気全盛の時代である。

初代スト2は稼働開始と同時に爆発的な人気を博すことになったが、しかしなぜかぼくは「ふ、流行ものなどに手は出さねえぜ・・・」と中二病丸出しの痛いヤツだったようで、続編のスト2ダッシュが出るまでスト2をプレイしたことはなかった。

それがなぜ後からこのゲームに興味を持ったかというと、当時所有していたパソコン「X68000」でスト2のリュウだけを抜き取った「酢とリーと歯痛 痛」(すとりーとはいたぁつう)というイリーガルなゲームをプレイしてしまい、その奥深さの入り口に触れてしまったからである。

バグから生まれたキャンセル技

現代の格ゲーで必須システムとなっている「キャンセル技」というのをご存知だろうか。

簡単に解説すると、普通なら通常技を出したあとは硬直時間があって何もできない時間が発生するが、硬直が発生する直前に昇龍拳や波動拳などの必殺技の入力を完成させると、通常技の硬直時間をまるっとカットして必殺技が出せるというものだ。

キャンセル技を使うと通常技から必殺技が華麗につながるので、うまく当てることができれば相手に大ダメージを与えることができる。

しかしキャンセル技は素早い正確なコマンド入力が必要なので難易度が高く、当時はアッパーからのキャンセル昇龍拳が出せたらそれはもうドヤ顔ができたものだ。

ぼくはこの「酢とリーと歯痛 痛」で、ジャブ昇竜(立小パンチ→昇龍拳)アッパー昇竜(近距離強パンチ→昇龍拳)をマスターしたことで、まだ一度も対戦したことがないくせにスト2の奥義を習得した気になり、意気揚々とハローワールドへ乗り込んだ。

そのときハローワールドにはスト2の続編となる「スト2ダッシュ」が全盛で、ダッシュの対戦台は2セットあったが、それとは別に初代スト2が100円で3回対戦できる対戦専用台があった。

この対戦台はCPU戦が一切できなくて対戦のみプレイができるという仕様であるが(対戦が終了するとゲームオーバー)、100円で3戦できるということは2人が100円ずつ投入すれば6戦も対戦できるので、基本を覚えたい初心者にはうってつけの台といえよう。

このときの対戦相手は友人H。ぼくから見れば初代スト2からプレイする中級者以上の存在である。

ぼくは歯痛 痛の持ちキャラであるリュウを選択し、H氏はヨガの達人ダルシムを使用。

「ふ・・・わいのアッパー昇龍の餌食にしてくれるわ」と内心ほくそ笑みながらコインを投入し合い、いざ対戦。

H氏のダルシムは初対戦のぼくに対し、接近した状態からレバー横入れしつつ中パンチをタイミングよく押すだけで成立する「せっかんハメ」という、ただひたすら掴んで殴り続ける極悪技を躊躇なく使用し、ぼくはなすすべもなく敗北するしかなかった。

H氏が直後に言い放った「これがダルシムのせっかんハメよ!」のセリフは未だにぼくの脳裏に焦げついている。

その時にはわからなかったが、これは知らない人相手にやったら灰皿ソニックどころかリアルファイトに発展してもおかしくない悪意ある行為と受け取られるだろう。

(事実、友人TAK氏は対戦台で知らない人相手にこのせっかんハメを行い、対戦相手から殴られたことがある)

初プレイ相手にここまでするH氏の容赦のなさは、獅子が我が子を千尋の谷に落としたあとに滝壺に放り込むようなスパルタっぷりであったが、「アッパー昇竜を覚えたくらいでいい気になるなよ」という彼なりの激励を込めたメッセージであったと思うようにしている。

アドベンチャークイズ カプコンワールド2

ハローワールドにはスト2と時を同じくして人気があった「アドベンチャークイズ カプコンワールド」の続編、「アドベンチャークイズ カプコンワールド2」というゲームがあった。

クイズゲームは大勢で知恵を絞りながらプレイするのがまた楽しいものだ。

当時高校生だった友人のじろけん氏がコインを投入し、彼の背後で数人がベガ立ちしていたときのこと。

問題はうろ覚えだが、「アニメ『とんがり帽子のメモル』で、メモルと仲良くなる女の子の名前は?」みたいな問題があった。

じろけん氏が「え~・・・わからない・・・」みたいな雰囲気を見せた瞬間、ぼくを含めた全員が同時に「マリエル!」と答えた。

じろけん氏はくるりとこちらを振り返り、「きみたち・・・」と、まるで異世界の生き物でも見るような目で呟いたたことを、ぼくはきっといつまでも忘れないだろう。

おわりに

この富山にはかつて多くのゲーセンが存在していた。

ぼくが子供の頃はゲーセンに行くことを良しとしない大人は多かったし、クラスメイトにチクられて教室の前で吊し上げを食らったこともあった。

しかし、マイコンに憧れを持つゲーム好き少年にとってゲームセンターはキラキラと輝くような空間であった。

業務用ビデオゲームの美麗なグラフィックや音楽によって生み出される重厚な世界観は、まるで未知のSFに接したかのようなワクワク感を与えてくれた。

ゲーセンが減っていった要因は色々あると思うが、ぼくに限っていえば家庭用ハードとゲーセンのゲームの性能差がなくなって業務用ビデオゲームに対するワクワク感がなくなってしまったことが、ゲーセンから足が遠のいたターニングポイントだったのかなと寂しく振り返る。(その後別の格ゲーでまたゲーセンに通うことにはなるのだが)

ぼくにとってハローワールドはただゲームをプレイするだけでなく、ゲームを通じていろんな人たちと交流ができた思い出深いゲーセンだった。

 

ゲーセンには消えてほしくない・・・

 

でも自分にできることはほとんどない・・・

 

ちょっと寂しく、ちょっともどかしく、底にわずかに残ったお酒をぐいっと飲み干しながら、今宵はしんみりと更けていくのであった。

追記:最終日に行ってきました

ハローワールド

富山県富山市新庄本町1丁目5-25

電話:076-451-7881

営業時間:8:00~0:00

2019年10月31日まで営業

6 COMMENTS

匿名

ビデオゲーム主体のゲーセンがなくなるのは悲しいですね…
自分もスト2ダッシュあたりから凄く通っていたのでわかります。
関東の大学に通い始めた時もたくさんいろんな所でプレイしました。
あのウメハラとも対戦した事もありましたwボコボコに負けましたw
あの時のゲーセンの雰囲気…何とも言えない楽しさがありましたよね。

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あるのん

どうも、こんにちは。
あの頃はたくさんゲーセンがあったので、ハシゴするのが日常でした。
格ゲーが流行っていた時代は、それぞれのゲーセンに常連やら主やらがいたのも楽しかったですよね。
現在プロゲーマーとしてブイブイ言わせているウメハラさんと対戦されたことがあるとは!ぼくもボコられるだけですが戦ってみたかったです。

あの頃のゲーセンの殺伐とした空気はちょっと表現しづらいですよね。
お互い強く意識しているのに話しかけたら負けみたいな空気があって、でも話してみるとすごくいい人だったりw

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卓球部

ハローワールド閉店ですか
つーか良く生き残ってましたねえ
メーカーもゲーム出さないしねえ
ストEXとか3とかやってた記憶が

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あるのん

卓球部さん、こんにちは。
今まで残ってこられたのがむしろすごかったのかもしれないですね。
地方では仕方ないにしても、やはり寂しいものです。

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