『煎り酒』なる液体調味料をご存知でしょうか。
日本における液体調味料界のエースいえば間違いなく『醤油』ですよね。
今でこそ当たり前に購入している醤油ですが、江戸時代で醤油といえば高級品でした。
では醤油を買えない庶民はどうしていたのかというと、日本酒に梅干しを入れて煮切り、昆布や鰹節などの出汁を加えたもので代用していたのです。
それこそが煎り酒と言われる液体調味料なのですが、この煎り酒の存在は醤油が広く普及したことでその需要がなくなっていきました。
しかしこの豊かな味わいは醤油にはない魅力があり、万能でありながら意外と知名度は高くなく、まさに知る人ぞ知る調味料となっています。
目次
煎り酒の原材料(銀座三河屋製)
原材料だけ見ると特に変わったものは見られません。強いていえば梅酢くらいでしょうか。
まず舐めるように直接味わってみた
出汁の豊かな香りと味わい。
そして強気な梅の酸味を感じながらも決してとんがった酸味ではなく、全体の調和がとれていて煮切り酒の旨味も感じます。
醤油はとても直接飲む気にはなれませんが、この煎り酒は味は濃いながらも醤油ほど塩分が強くなく味も尖ってないので、塩を舐めるようにそのままでお酒の肴になってしまう魅力があります。
では実際に、この煎り酒がどんなものと合うのか色々試してみました。
煎り酒を色々試してみた
刺し身
煎り酒と刺し身の相性は抜群です。特に淡白な味の白身魚は醤油よりも煎り酒のほうが合うと思います。
赤身は醤油もおいしいので好みになりますが、上の画像の刺し身を煎り酒オンリーで食べきっても全然物足りないということはありませんでした。
あと、これは嬉しい誤算でしたが、ツマ(大根)が存外に旨い。
醤油でツマを食べると、醤油を吸いすぎて醤油が強くなりすぎてしまうのだけど、煎り酒で食べると旨さしか感じません。最後の一本まで喜んでいただけます。
昆布締め
富山名産サス(カジキマグロ)の昆布締めは、昆布の旨味や塩味がある程度ついているので、醤油を香り付け程度に付けて食べるのがスタンダード。
煎り酒で食べることによって旨味が増幅し、昆布締めのサスの素の味がダイレクトに味わえます。
しめ鯖
今回試したこの昆布締めは酢の味が強めなのもあって、合うは合うものの若干の力負けを感じました。
このしめ鯖もスーパーにしてはかなりおいしいものではありますが、質の高い居酒屋のしめ鯖なら抜群に合うと思われます。
スモークサーモン
スモークサーモンはそのままで味がついているものの、直接食べるには何か微妙に物足りない感じがあるんですよね。
サラダなどにして食べるのが一般的な感じではありますが、煎り酒で食べることでそのままで抜群の肴となりました。
かまぼこ
かまぼこは醤油でもおいしくいただけます。
でも、この煎り酒の柔らかく豊かな味わいも負けちゃいない。
冷奴
超絶ズボラ飯な画像で申し訳ありませんが、煎り酒は淡白な味のものとすこぶる合います。
冷奴は醤油よりも白だしで食べる派でしたが、白だしよりもこの煎り酒のほうが旨味が濃くて好きですね。
焼肉
密かにこの焼肉が一番感動したかもしれないです。
スーパーに行くととてつもない種類の焼肉のタレが売られています。どのタレもおいしいものではありますが、全体的にタレの個性が強めかなと。
この煎り酒でいただくと、調味料が主張しないながら日本人好みの旨味や風味となり、肉の素材の味も存分に楽しめるという、塩だけで食べるのともまた全然違う体験をしました。
今回試した安い肉でも十分おいしかったので、これがいい肉であればあるほど肉のポテンシャルを引き出せそうな気がします。
ローストビーフ
もちろん合います。
ローストビーフを買うとタレが付いてますがかなり味が濃いので、その味が好きな人にはやや弱く感じるかもしれません。
煎り酒で食べると“刺し身感”が強くなりますね。ホースラディッシュかワサビがあるとよりいい感じ。
チャーシュー
このままで十分味が濃くて肴になりますが、脂が強いのでもうひとつ何かが欲しい気もします。
そこでこの煎り酒を付けることによってジグソーパズルの最後のピースがはまり、さらなる肴感が加速していくのです。
チャーシューはタレが付いてくるのもありますが、味が濃すぎて個人的にはちょっと苦手かもです。
■おひたしに掛けたり、天つゆがわりにも
これらの他にも、おひたしに掛けても抜群においしかったし、天つゆ代わりにかき揚げ付けてもおいしかったです。
煎り酒は天つゆより若干味が強いので、天つゆじゃちょっと物足りないかなあという場合にも超絶おすすめです。
煎り酒は自分でも作れます
煎り酒のレシピ
江戸時代にそれぞれの家庭で作られていたというだけあって、わりと手軽に作れちゃいます。
梅干し:4粒(甘くなく塩辛いもの)
鰹節:15g
もっと少ない量で試したいという場合は分量を調節しましょう。
沸騰したら弱火にして、鰹節と塩を入れて2/3ほどになるまで煮詰める。
ザルや網などで濾せばもう完成!
保存用の容器に移し替えて、冷蔵庫で2周間ほどで使い切るようにしましょう。
まとめ
「醤油こそ至高」という意識に一石を投じるこの煎り酒。
スーパーではなかなか売られていないのですが、ぜひご自宅の冷蔵庫に秘密兵器として一本忍ばせておいてください。
市販の白だしよりもさらに風味は豊かで、今回取り上げたもの以外にもあらゆる食材に調和するはずです。
醤油や白だしでは体験できなかった新しい味を見つけることもできたなら、さらに食事が楽しくなると思いますよ。
コメント
コメント一覧 (4件)
おはようございます。本日早速作ってみようと思います!!
こんばんは
おおおお!もう作ってみられましたか?
レシピを載せといてなんですが、自分で作ったことはないのでどうだったか気になりますね…(*´ω`*)
実はまだ作っていなくて、日曜日に頂き物のかぼちゃでプリンを作った際に、飲み残ったワインを煮切りにし、黒糖を足してシロップにしてみました。醸造酒はいろんな旨味を引き立てる力が秘められていると思います。
な、なんかオシャンティですね…( ̄0 ̄;)
そちらもおいしそうです。
もし今度煎り酒を作られたら、ぜひ感想を伺ってみたいものです(^.^)