秋の気配が漂い、残暑がいよいよ最後の抵抗を試みる時節。
我がホームグラウンドである富山駅前をうろうろ徘徊していると、ふと「のどが渇いたなあ」となるのは必定。
気分はコーヒーでもなし、かといって紅茶でもなし、ましてお酒なんて車で来ているのでもってのほか。
もっとさっぱりといただけて、味も気持ちも満足できるような都合のいいものはないものか。
そんな都合のいいものなんて、そうそうないよね?
あるんだな、これが
そういえば久しく行ってなかったけど、あのお店があったじゃないか!
そう、とやマルシェ内にある「丸八 製茶場」が!!!
「丸八製茶場」は石川県加賀市で、ほうじ茶を探求し続けてきたお茶屋さん。
本気の日本茶が飲めるお店って富山じゃなかなか聞かないので、こういうお店があるというのはとてもありがたいです。
店舗正面左側がお茶の販売コーナー、右側はスタンディングでお茶をいただけるスペースとなっていて、のれんの奥にカウンター席があるという感じです。
地元の作家の作品によるギャラリーもあり、これらは販売もされています。
丸八製茶場の献上加賀棒茶
丸八製茶場の創業は1863年(文久3年)、江戸時代の末期に遡ります。
お年を召されてからは特に焙じ茶を好まれた昭和天皇にと、試行錯誤を重ねてつくった棒茶が「献上加賀棒茶」です。
特徴は澄みきった琥珀色。一番摘みの良質な茎を芯から浅く焙じ、旨味をひきだしています。茶葉そのものの緑がかった浅い茶色も献上加賀棒茶ならでは。
芳ばしい香りを存分に味わうには、熱湯で25秒。時間をかけずにいれることをおすすめします。品良く調和した軽やかな渋味と旨味をお楽しみください。
丸八製茶場の一番人気の商品である「献上加賀棒茶」は、昭和天皇が加賀市にお越しになられる際に開発されたことがきっかけとのこと。
そう聞くとより高尚なものに思えてしまうから不思議なものですね。
このお店のメニューは今どきらしくタブレットを使用したものとなっていますが、実際の注文は口頭で行うというヒューマニズムを残した仕様になっています。
今月のカクテル!?
今月のカクテル「みかん」とな!?
以前のぼくであれば「お酒の入ってないカクテルなぞカクテルではない」と海原雄山よろしく鼻息を荒くしたかもしれませんが、「酒類提供の自粛」&「車で来ている」という奇跡のコラボが一切の先入観を消し去ったのです。
お茶で770円は税込とはいえなかなかのお値段な気がしますが、見た瞬間「自分の心は一つです!」状態だったので迷わずこれをオーダーしました。
加賀棒茶の水出し
まず冷たいお茶「加賀棒茶の水出し」が出てきました。
公式サイトにも「冷たくして飲むときは水出しがおすすめ」となっていますので、加賀棒茶の水出しは大正義ということらしい。
とっても小さなグラスですが、よくよく見てみるととてつもなくオシャンティーなグラスであることが伺えます。
さっそくお茶をいただいてみると・・・
「うっ・・・!!濃ゆ~い!!」
ふさわしい例えかどうかわかりませんが、まるでコーヒーを彷彿とさせるような素晴らしい芳香と濃厚さ。
ぼくはコーヒーも好きですが、なんかもうこれだけ飲んでいてもいいくらいに気に入りましたよ。
しばらくすると、お店のお姉さんがカクテルの元となる材料や器具を運んでこられてぼくの目の前へ・・・ いや、無事ぼくの目の前を通過し、少し離れた誰もいない席の前でカクテルを作りはじめました。
きっとこれは新型コロナの感染リスクに配慮しているということなのでしょう。
しかし目の前ならともかく、離れて作業しているお姉さんをあまりガン見するのもなんだか熱い視線を送る痛いオッサンみたいだし、でもちょいちょいチラ見するのもワンチャン狙ってる痛いオッサンみたいだしで、あまりよく見れませんでした・・・
ということで出てきたものがこちら!
大隅 三体堂×みかん×ミント
なんとシャレオツな飲み物でしょう・・・
「大隅 三体堂」とは鹿児島県・霧島山麓で育った癖がなくまっすぐな味わいが特徴とのこと。
気になるお味ですが、清涼感がすこぶる素晴らしいの一言に尽きます。
カクテルというからちょっと甘くて濃ゆいめの味を想像していたのですが、味は極めてシンプルといいますか主役は明らかに「お茶」なんですよね。
お茶の味を損なわないように配慮されていて、みかんもミントも決して主張せず脇役に徹しているので、「美人すぎる○○」風に言うならばまさに「オシャレすぎるお茶」という感じでしょうか。
「今月のカクテル」ということなので(※8月中に訪問しました)、夏にピッタリのお茶のカクテルでした。この記事は9月に入ってから書いてますので、現在の今月のカクテルは初秋を感じさせるお茶になってるのかなあ。めっちゃ気になる。
さらにもう一杯、冷えたお茶が出てきましたよ。
品種は「やまなみ」という浅煎りのほうじ茶で、爽やかな清涼感とほのかな渋みがクールダウンにもってこいらしい。
爽やかでシンプルな味わいですが、心地よい渋みが猛った気持ちを鎮めてくれるかのようです。
これもサービスの無添加のりんごチップス。
これだけ色んな個性のお茶やらりんごチップスやらいただいて770円というのはめっちゃお得であったと言わざるを得ません。
とっても大満足でした!
そして後日、再訪問
お茶のカクテルの興奮が冷めやらぬうちに再訪問。
しかしこのときもまだ8月だったので、今回は趣向を変えて冷たい抹茶にしてみました。
冷たい抹茶¥550円(税込)
まずは加賀棒茶の水出しから。やっぱこの水出し好きだなあ。
グラスがまた素敵ですね。
こちらは京都産の抹茶とのこと。思ったほどの色の濃さはなく、氷が一つ浮かべられています。
しかし、これが飲んでみると、甘さ・渋み・深みがしっかりと感じられる味わいなのです。
浮かべられた氷によって清涼感を演出しながらも、骨太な味の骨格を十分に楽しむことができます。
りんごチップスもしっかり付いてきて嬉しい。
今回も茶だけしばくつもりが「お菓子はいかがですか?」と聞かれたらそりゃ頼むしかないじゃない。
ということで上の画像は季節限定「呉羽梨のシャーベット」。
富山の人気ブランド「呉羽なしの香水」を使用し、砂糖とはちみつを煮詰めてコンポートにしてから凍らせたものです。
これが、控えめに言って、超絶品でした!なしの食感と風味を活かしつつ、自然な甘みが素晴らしく後を引く旨さ。でもこれは次回にはもうないのかなあ。
でも大量に作ったものを冷凍してくれればワンチャンあるのかも?また食べたいなあ。
今回は〆のお茶が2種類出てきた!
同じお茶を冷たいものと温かいものでいただくという趣向です。
ぬう、こしゃくな・・・ このあるのんを試す気か・・・!!※試してません
実はこのお茶、「noma」というブランド名で9月1日より販売開始されるとのこと。こちらのお店では1年に4回新しいお茶が発売されるとのことで、季節折々のお茶が楽しめるということなんですね。
冷たいほうはシュッとしてきめ細やかな味わいで、温かい方は花開くような華やかな香り。同じお茶なのに味わいも香りもまったく違うもののように感じます。これは楽しい。
いやあ、なんとなく感じてはいたけれども、お茶ってすっごく奥が深いものなんですね。
このお店で日本茶をこれだけ楽しめたのは「酒類提供の自粛」&「車で来ている」という怪我の功名に他なりません。感情は複雑ですが、気づかせてくれてどうもありがとう。
常連になる未来しか見えないあるのん氏でありましたとさ。
丸八製茶場syn とやマルシェ店
住所:富山市明輪町1-220 きときと市場 とやマルシェ内
電話:076-471-8112
営業時間:8:30〜20:30
喫茶 10:00〜19:00(L.O.18:30)
定休日:なし
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