【室谷食堂】新湊民に親しまれる「かけ中」の老舗店がディープすぎた

富山の人たちは「かけ中」なる食べ物をご存知だろうか。

かけ中とは新湊のご当地グルメで、ラーメンをうどんの汁(または蕎麦の汁)でいただくというものである。

新湊ではかけ中を提供するお店は多く、地元では知らない人はいないほどに馴染みのある食べ物だ。

かけ中はやがて「ケンミンSHOW」でも取り上げられるのではないかと密かに思っているのだが、今回の記事では「かけ中」を提供する老舗店に訪問してみた。

最初に一つ断っておきたいのが、今回訪問した「室谷食堂」はムロタンの名で長年地元で親しまれているお店ではあるが、残念ながら次に挙げる人には正直おすすめできない。

室谷食堂に行くべきでない人
  1. 付き合い始めて間もない異性と2人で
  2. 極端なきれい好き、もっというと潔癖症の人

この点を意識しつつこの先を読み進めていただきたい。

見つけられない室谷食堂

ネットで店の場所を調べてみると、「お店の場所がわからない」「見つけられなかったから出直した」などの口コミが多数。

住所も乗っているのにそんなバカなと思いつつ、近くの観光客用の駐車場に車を停め(山王町公園や内川散策観光客専用駐車場など)GoogleMapの指示通りに目的地へと向かった。

 

GoogleMap「目的地に到着しました」

 

ない……飲食店などないじゃないか!??

まあ番地がダブったりして違う場所に案内されるのは往々にしてよくあること。

この近くには間違いないだろうから、ちょっと探してみるかと周辺を歩いてみた。

やっぱりないなぁ……

細い路地の奥までガン見するも、それらしきお店は見当たらない。

しかし、飲食店特有のいい匂いは漂ってくる。確かに近くにはあるっぽい。

近所の人に聞こうにも人が歩いていない。このまま見つけられずに出直すハメになるというのか?

八方塞がりなってしまったので、ここでまたスマホを使って今度は店名で画像検索してみることに。店の外観さえわかればなんとかなるだろうという目論見だ。

 

すると、検索結果には見覚えのある光景が映し出されたではないか。

 

あれっ!?…ここってまさか!!!?

 

そう、ここは最初にGoogleMapに案内された場所。

 

なんと、お店の場所はここで正しかったのである。

 

このまま右へと視線を向けてみよう。

信じがたいことに、どうやらこれが室谷食堂の店舗入り口らしい。

暖簾は外には出てはいないものの、口コミ情報によると営業中もこの状態とのこと。

既に時間は11時をまわっているので、もう開店時間にはなっているはずだ。

室谷食堂入店

引き戸をスライドさせるとガラガラと鈍い音を立てる。

その重さに年輪の深さを感じながら、目の前には別世界の光景が広がっていった。

「THE 昭和」

既に平成の世も終わりになろうとしているのに、この空間は昭和が過ぎ去るのを拒み続けているかのようである。

店内を見渡してみたところ、お客さんところがお店の人すら見当たらない。

 

「すいませ~~ん!!!」

 

厨房にも誰もいない。

そこで暖簾のようなもので区切られた、奥の住居っぽい部分に声をかけてみた。

やはり反応がないので暖簾をまくりあげてみると、5~6m奥に人がいた!!

 

「すいませ~~ん!!!」

 

しかし、やはり反応がない。もしかしたら耳が遠いのかなと思いつつ何度も声をかけてみるも、それでもまったく反応がない。

この状況に軽く混乱しながら一旦外へ出る。

すると、連れが不安そうな表情を浮かべながら、その目が語っていた。

 

「もういいよ、もうやめようよ」と。

 

ぼくはふと我に返った。連れの不安の元となる要因については理解できたからだ。

この店、ハッキリ言って「汚い」の一言に尽きる。

一応断っておくと、このブログの記事に取り上げるお店についてはなるべく大きな批判はしていないつもりだ。

できる限りそのお店の良い部分にフォーカスし、マイナスとなりうる部分を書く場合はそうしないと利用者(もしくはお店)に不利益が出ると思われる場合のみで、しかもできる限りオブラートに包むようにしている。

しかしどれほど言葉を取り繕ったとしても、現実は決して抗えないのだ。

なので、確かに連れの不安もよく分かる。

お客さんの座る部分はまだしも、お店の入口付近はおよそ飲食店の光景とは思えない。

さらにお店の入口からチラリと見える厨房の中がもっと酷い。パッと見、閉業してしばらく経ったお店にしか思えない光景で、これを見てしまうと食欲どころではない人も多いかと思う。


ぼくは我に返った後、「こんな面白い店、やめるわけにいくかよ」と、連れに目で訴えつつ再び入店。

「すいませ~~ん!!」と強く連呼すること5回。

 

「はい…」

 

覇気のない返事ではあるものの、ついに気づいてもらえた!

 

ぼく「あの…やってますか?」

 

店主「やってます…」

 

「やってるって!」と嬉しそうに連れに伝えるぼく。

連れの表情は微妙だ。残念がらぼくのアイコンタクトは全く通じてなかったっぽい。

昭和で止まっているかのような価格

メニュー1

「汁中華」というのが「かけ中」になるらしい。

汁うどん、焼きそば、焼きうどん、お好み焼き、肉そば、肉うどんなどがあり、特徴的なのはどのメニューも小中大とサイズが選べるところだろう。

少食の子供や女性にお年寄りなどにも優しい気づかいではないだろうか。

どれも格安と思われる値段設定だが、長年営業が続いてきた中でこれでもちょっとずつは値上がりはしているらしい。

メニュー2

反対側の壁には冷たいメニューも貼られていた。もしかしたらこちらは夏限定かもしれない。

室谷食堂の約束ごと
・食べ終わった食器はカウンターへ返却しよう

ワンオペだからこそのこのお値段。食べ終わったらカウンターまで食器を持っていこう。

テーブルのオブジェ

PPのはずなのになぜか置いてある空のペットボトルと謎の水筒。そして触るのがちょっぴりためらわれる雑巾。

これはもうテーブルのオブジェと思うことにして手を触れないことにした。

※PP=ポールポジション(1番目の入店)

壁のサイン色紙

この場所のすぐ近くで、映画「人生の約束」のロケが行われたからなのか、映画のキャストによるサイン色紙が飾られていた。


来たんだ…

これはとても貴重なサイン色紙ではないだろうか。

彼らがこのお店を楽しんでくれたことを心から願うばかりだ。

汁中華(中)380円

見た目に目を引く点といえば、麺が太いということ、チャーシューがなく、天かすが最初から振りかけられているところだろうか。

とにかく値段が安いのでチャーシュー無しは納得で、その寂しさを補おうとするのが天かすと思われる。

これは汁がまさに蕎麦。しかし麺はラーメン。

麺は太めなのにすごく軽くて、汁は思ったより強い味。

これを食べて、富山駅にあるかつては立ち食いそばだった「立山そば」を思い出した。まさにあの路線の食べ物というか、コンセプトもわりと近いように思う。

かけ中にはコショーをたっぷり振りかけるのが新湊流とのことだが、一味をかけても不思議に合うのは汁がそばのものだからだろう。

お好み焼き(スペシャル)410円

なかなかしっかりとしたお好み焼きではないか。

具は刻み昆布やイカの他に豚肉がいっぱい入っている。

そして、このお好み焼きにたっぷりと塗られた濃いソースがまた実にいい感じだ。

店主が無造作に置いてったマヨネーズもまたよく合う。

このお好み焼きが、分厚さのわりに出来上がりが早かったなと不思議に思ったので、生地をめくってみると…

なんと、2枚重ねだった。

確かにこれなら焼き上がりは早い。

地元民に愛されるお店

次第に他のお客さんもぽつりぽつりとやってくる。

店主の受け答えを見ているとやはり覇気が感じられず、ときには返事すらしてなくて聞こえてるのか聞こえてないのかわからない状態だ。

しかしお客さんを見ていると、そのようなことは織り込み済みというか特に問題ではないらしい。

お好み焼きの持ち帰りだけを注文して待ってるおっちゃんもいれば、電話でお好み焼きを注文して「焼き上がりは15分後くらいです」と、その時間に合わせて取りに来るお客さんなど、地元民はこのお店の活用法をよく知っている。

お店の奥には小さな小さなお座敷があり、そこでは6~7歳位のお子さんとお父さんが仲睦まじく汁中華の大をシェアして食べている光景も見られた。

汁中華とは別にお持ち帰りでお好み焼きも注文していて、「それはママの分だろうか」などと思いを馳せてみる。

やってきた他のお客さんを見ていると、この室谷食堂が長年にわたりどれほど地元民に親しまれてきたお店であるのかがよくわかった気がした。

彼らは既に胃袋を掴まれているのだ。

お勘定タイム

ほっこりとした温かい気持ちに包まれながらそろそろ会計をと思った頃、またあの厨房の中を見てしまうのかと苦い現実に引き戻される。

セルフサービスでグラスに注がれた2人分のお冷。片方のグラスは既に飲み干され、もう片方は並々と注がれたまま雫を垂らし続けている。

連れは注がれたお冷に最後まで手を付けなかったのだが、その理由はなんとなく察しはついていた。

ぼくは、「なあに、かえって免疫力がつく」とばかりに連れの分もグイッと飲み干した。

 

その直後のこと

 

「ガラガラガラ…」

 

えっ

 

別の入り口からお客さんが入ってきた!!!!

何だこの店、入り口が2つあるのか!?


店舗外観

確かに通り沿いの方にも入口が存在している。

…が、やはりどう贔屓目に見ても飲食店には見えない。

さいごに

昔から地元で慣れ親しんできた人たちにとってはもはや何の抵抗もないかもしれないが、初見の人には何かとインパクトの強いクセのあるお店であるのは間違いないだろう。

なので、初めて行く人は通り沿いの正面の入り口から入ることを強くおすすめする。

絶対に飲食店に見えないその外観は、間違って観光客が入らないようにというせめてもの心遣いなのかもしれない。

とても貴重なお店なので、これからもできるだけ長く営業を続けていただきたいと切に願うばかりだ。

室谷食堂
住所:富山県射水市八幡町1丁目11-16
電話: 0766-84-2208
営業時間:11:00~17:00
定休日:木曜日

駐車場

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14 Comments

魚座の漁師

残念ながらこのサイン色紙は新湊至る所で見られます。(私も持っています)
コピーの可能性も…

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あるのん

魚座の漁師さん、コメントありがとうございます!
他の方からも伺いましたが、どうやら色紙はコピーのようですね。
残念なような、ホッとしたような・・・

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タカキ

自分こう見えて潔癖症なのです…
しかし長年ラーメンに天ぷらや天かすは合うと言い続けて来たので僕的にはお好み焼きも含めて完璧ですね。
まあ汚れとか細かい事はルービー飲めば気にならなくなりますよw

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あるのん

そうなんですか?脂ぎったキリンのビールグラスとか好きそうなのにw
まあでも、このお店にルービーがあるのかは謎ですが(あるんでしょうけど)
飲み物のメニューが見当たらないんですよね。

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みききち

是非、行ってみたい。
大好きな人の故郷にあるお店です。
いつ、行けるかな?

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あるのん

みききちさん、コメントありがとうございます。
店主のご健康次第なので、行きたいと思われるうちに行っておいたほうがいいかもしれません。
海王丸パークから車で5分位の距離なので、わりと行きやすい場所だと思います。

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D・S

始めまして、毎回楽しく読ませていただきます。かけ中は、私も好きでス(^_^)あるのんさん、ぜひ上越市直江津のつかそばにも行ってみて下さい、天玉中華があります。射水市の中華とは違いますが、自分は中毒になってマス。

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あるのん

D・Sさん、コメントありがとうございます。
つかそばの天玉中華、ググってみましたが面白いですね!かけ中とは違うものではありますが、それに通じるスピリットを感じます。
そちら方面に行く際はぜひ寄ってみたいと思います。

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めぢこ

こんにちは。いつも楽しく読ませて頂いてます。
地元民の私にはむろたんはまさにホームであり、あの店の汚い部分には自動的にフィルターがかかるようになっています。
地元民ならではの注文方法として「かけ中をまぜ」と注文すると中華麺とうどん麺が半々で混ぜられた物がでてきますよ。
昔はご近所さんが鍋ごとお店に持ってきて、「かけうどん3つ」と頼んで鍋に入れてもらい自宅で食べたりもしていました。

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あるのん

めぢこさん、コメントありがとうございます!
地元の方に親しまれているのは行ってみてよくわかりましたが、あの部分は平気なんだろうかという疑問もありました。フィルターがかかるようになっているんですね(笑)

「かけ中をまぜ」というのも面白いですね。知っていればそれを注文したと思います。鍋を持っていくのは地元密着店の醍醐味ですね(笑)

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少々

富山市民ですが室谷のお好み焼きが好きでよく行きます
ずっと取り上げてほしいと思っていたのでうれしいです(^^♪

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あるのん

少々さん、こんにちは。
おお、富山市民がよく行かれるとはかなりの通ですね!
本当に唯一無二の不思議な空間でした。

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キャロライン

自分はホテルでも病院でもなんでも新しい所が好きな潔癖寄りの人間なので、このお店のハードルはかなり高いです。
がしかし、悲しいかな昭和生まれの私、この、へんに胸がキュンとなる感じ…これがノスタルジックというやつなのでしょうか。
それでも古さと汚なさは別問題だと思うので、飲食を扱うのならば、もう少しお掃除を頑張って頂きたいですね♡

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あるのん

キャロラインさん、こんにちは!
昭和世代のハートに胸キュン要素をさっ引いても、初めて訪れる女性には特に難易度が高いと思います。
最後の言葉に要約されていると思いますが、店主の負担の少ない程度にちょっと頑張っていただきたいところですねえ~

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