富山の最高の日本酒を、富山の最高の絶景の中で味わってみた

ども、富山人あるのんです。

「富山で最高の日本酒は何?」

と聞かれたとき、富山の人はどのお酒を連想しますか?

ぼくとしては、酒は嗜好品なので最高のお酒は各自で判断すれば良いという思いですが、それでも「最高のお酒は何だ!?」と問われたときにどう答えるべきか。

最高のお酒の定義とは実に難しい。

どの蔵も一番いいお酒には、特別な酒米を惜しみなく削ったものを使用します。

ベテランの杜氏が知り得た最高の知恵と経験と労力によって醸されたお酒に、果たして順番などつけられるでしょうか。

しかし、それでも最高のお酒を決めなければいけないとしたら、その指標の1つとして「お酒の価格」も判断の基準になるのではないかと思います。

富山の最高級のお酒を購入してみた

「富山の最高のお酒」は決めかねるものの、では「富山で一番高価な日本酒は何か!?」と思って調べてみたところ、あるお酒の名前が浮上してきました。

そのお酒は、天皇陛下が富山に来県された際にレセプションで振る舞われたことがあり、通常は陛下が一口つけるだけの形式的なものらしいのですが、このときは注がれたお酒を陛下が全て飲み干されたということで話題になり、そのニュースを見て以来ぼくもずっと気になっていたのです。

ということで、今回はその純米大吟醸を購入してみました。

そのお酒とは、720mlで6,000円(税別)の純米大吟醸です。他の富山の蔵は高くても5,000円ほど。

このお酒はずっと気になっていながら飲めていなかったお酒なので、いやもう久々に胸が高まりましたね。

このお酒が飲める日をずっと待ち望んでいたわけですが、これをただ普通に部屋で飲むというのはちょっと違うんじゃないかという思いが湧き上がってきました。

富山の最高のお酒は、最高のロケーションでいただいてこそ、より感動が増幅されるのではないかと思ったのです。

富山の最高の風景の中、さらに欲をいえば美女に囲まれながらいただくことができるのであれば、なお最高ではないか。

そんな富山男児の純粋な動機のもと、さっそく美女の待つ絶景を目指して突き進んでいきたいと思います。

まず地鉄に乗った

当日はこのような晴天に恵まれ、天の祝福を感じずにはいられません。

週間天気予報をこれほど毎日真剣に眺めた期間もありませんでしたが。

いつもの富山駅方面ではなく、反対の岩峅寺方面へ。

終点の岩峅寺駅まで行くのは、富山駅からの帰りに寝過ごしたとき以来でしょうか。

※今回利用した路線は不二越・上滝線です

岩峅寺駅からは、レトロかっちょいいレッドアロー号に乗り換えです。

さらに山へ、山へと深く進んでいきます。

終点の立山駅に到着。

立山駅からは、さらに立山ケーブルカーに乗り換えて、山の斜面を駆け上がっていきます。

察しのいい人は、ぼくがどこへ向かおうとしているのか、既におわかりのことでしょう。

 

そう、ぼくが今回目指した地は…

 

 

美女平駅!!!

 

この美女平駅は、黒部ダムへと向かう立山アルペンルートの標高977mの地点にある駅です。

この日の朝、富山の平野部の気温は17度でしたが、美女平の気温は8度とかなり肌寒い。


そして曇ってます

 

「は?美女いねえじゃん」

 

ええ、そう言いたい気持ち、よくわかります。

 

でも、それは違うのです。

 

ではご紹介しましょう。

 

はい、美女平の「美女杉」ちゃんたちです。

美女平駅のすぐ横には、美女平の地名の由来となった美女杉が2本そびえ立っています。

この美女杉には、ある伝説があります。

美女杉伝説
立山を開いた佐伯有頼には美しい許嫁のお姫様がいました。お姫様は一目有頼に逢いたくて、立山に登っていったのです。

 

しかし有頼は、山を拓くまでは逢うことは出来ないと姫を追い返してしまいました。姫は仕方なく山を下りることになったのですが、その途中で1本の杉に向かって、

 

「美しき御山の杉よ、心あらば、わがひそかなる祈り、ききしや」

 

と祈りました。すると後に願いは成就して、二人はめでたく結ばれることになったのでした。

 

この祈りの杉こそ「美女杉」で歌を三度唱えれば、恋がかなうと云われています。また、この美女杉にちなんで、杉のある一帯を美女平と呼ぶようになりました。

これは美女杉の前にある看板にも書かれている伝説ですが、実は美女杉についてはもう1つ伝説が存在します。

Another 美女杉伝説
昔、立山は女人禁制でしたが、禁を破り入山した尼と2人の幼い付き人が神の怒りにふれ、付き人の一人は美女杉に、もう一人はカムロ杉に変えられました。

 

無理に付き人を引っ張ってきた「止宇呂尼」という尼は、一人で登り続け惜しい所まで来ましたが、「姥石」という石に変えられてしまいました。尼は、せめて手鏡だけでもと、鏡を山頂の方向に投げました。投げた鏡が「鏡石」になったと云われています。

つまり、杉に変えられてしまった美女がここにいるということに!

あるのん

立山が女人禁制でなくなってもうずいぶん経つというのに、君は今もこの地の安寧のために、美女平のシンボルとしてぼくらを見守ってくれているのだね。

この富山紳士としては、美女杉ちゃんらの魂が報われることを、ただ願うばかりです。

ではこれから、美女杉ちゃんの人間時代の美女っぷりに思いを馳せながら、富山の最高のお酒を飲むのに最適な場所を求めて探し歩いてみることにしましょう。

美女平の魅力的な原生林

この美女平は立山アルペンルートの一角に存在するので、マイカーで来ることはできません。

標高997mにあるこの地には、樹齢1000年を超える巨大な立山杉があちこちに存在し、さらにもう少し上に行けばブナの原生林も広がっているのです。

駅周辺の木々をパパッと眺めるだけでも、既に下界の光景とは違う世界が広がっていることがよくわかります。

美女平の立山杉は、日本一高所で生きる杉なのです。

豊かな自然に恵まれた富山といえど、これほどの数の立山杉が見られる場所はこの美女平だけです。

 

 

道路を歩いていると、室堂駅へ向かうバスと美女平駅へ向かうバスが交錯しあいます。

多分乗客たちはぼくを見て、「ああ、カメラ好きな人がいるな」くらいに思っているんでしょうが、まさかぼくが酒を飲む場所を求めてさまよい歩いているだなんて、恐らく誰も想像だにしていないことでしょう。

まあ、さすがに道路に面したところでは飲めませんけどね。このあるのんがインスタ映えしてしまうことは避けねばなりません。

緩やかな坂をさらに上っていくと、道の脇に普段見ることのない植物が見られるのがまた楽しい。

■ネット上のお前ら

■現実のおまえら

こんな写真を撮りつつ、1人ほくそ笑んでいるのもまた怪しさ倍増で、やはりバスの乗客には見せられませんね。

しかし、行けども行けども、お酒が飲めそうな場所など見当たりません。

あるのん

いったいどこまで歩けばいいのやら… てか、お酒を飲むのに適した場所なんてあるのか?

と弱気になって、そろそろ引き返すべきか迷っていた頃、公衆トイレを発見しました。

「もしかしたら、この辺りに何かいい場所があるのでは」と、導かれるように脇道へと入っていきました。

ん……あれは何だ!?

こ、これは…!!

いいいぃぃ!すごくいい!!!

この古株に一目惚れしてしまったので、この場所で飲むことに決めました!

富山県で最高の日本酒登場!

さあ、待ちに待った日本酒をいただきますよ。

そう、そのお酒とは…

満寿泉純米大吟醸「寿」プラチナ 無濾過生酒

このお酒には、酒米の王様というべき「山田錦」が使用され、その山田錦は特に優れた産地として有名な兵庫県産のもの。そしてその山田錦を35%にまで磨き上げた特別な純米大吟醸なのです。

「最高値だからといって、必ずしも最高のお酒というわけではない」ということはわかっていますが、このお酒が富山で最高のお酒の1つに挙げられることは疑いようがありません。

満寿泉といえば、まだ吟醸酒が一般的でなかった時代から、社運をかけて吟醸に取り組んできた富山を代表する吟醸蔵なのですから。

その満寿泉の最高の純米大吟醸を、この原生林に囲まれた緑の中でこれからいただいてみます。

思惑どおり、ぴったりお盆が収まって

切り株っぽい上にシートを敷くと、ちょうどいい椅子とテーブルの位置関係に。

意外と柔らかい座り心地で、長く座っていても痛くなることはありませんでした。

開けたての注ぐ音は格別なものがあります。

上立ち香でもうノックアウト寸前ですが、いよいよ口に含んでみると……

デリシャスな香り!…と見せかけて、まろやかさと旨味のバランスが実に素晴らしく、後味もふわっと消えていくような心地よさを感じます。

香りだけすごい日本酒なら色々とありますが、これほど鮮やかでありながら上品に綺麗にまとまったお酒はそうあるものではありません。

米の旨味、吟醸の香り、生酒の旨味、熟成の旨味、それらすべての要素が精妙に絡み合うさまは、もはや芸術品といえるほどの境地に達しています。

例えるなら、非常に優秀ながら性格的に扱いにくいソリストを一同に揃え、難しい共演を見事に統率しきった偉大な指揮者のような偉大さを造り手から感じるのです。

お酒は予想通り、最高のものでした。

 

であるならば、これほどのお酒に合う肴は何か!?

 

ええ、もちろん下界からちゃんと用意してきましたよ。

肴4種盛り

左から

婦中町音川産のきゃらぶき

富山市産の野ぶき・干し椎茸・山椒の実を使用したもので、添加物なし、砂糖なしの甘くない佃煮のような味わい。

 

甘えびの昆布締め

おぼろ昆布が使用され、あっさりした味ながら味わい深い。

 

サスの昆布締め

富山のスーパーでは売ってないお店はないほどの定番の昆布締め。

 

フルーツ盛り

甘いフルーツは日本酒が辛くなってしまうのだけど、たまに食べるとさっぱりしてまことに旨し。

個性ある珍味系では、大吟嬢の繊細な味わいを邪魔してしまうのではないかと思い、あっさり系で揃えてみました。

きゃらぶき以外は普通にスーパーで購入できるもので特別なものではありません。

ちなみに、この場所は遊歩道沿いにあるっぽいのですが、ここにもし今人がやってきたらこの光景を見て多分絶句することでしょうが、やってきたのが人ではなくもし熊だったならば、確実にぼくが絶句することでしょう。

緑と静寂の中で

古株の特等席から見渡す景色の素晴らしいこと。

周囲がガスってるのもまた幻想的なのですが、ガスってると思っていたら、ふっと澄んだ景色になってみたり、かと思ったら次の瞬間にはまたガスってきたりと、美女平の世界は実に気まぐれです。

美女すぎるにもほどがある美女杉ちゃんの性格が影響しているのでしょうか。

風もない静寂の世界の中、たまに聞こえる小鳥のさえずりが、この世界が現世のものであることを思い出させてくれるのです。

そして、ふと上を見上げて見ると

まるで森の精霊に守られているような光景が広がっていて、自分も自然の一部になった一体感を感じずにはいられませんでした。

スマホの電波も届かない場所で、あるのはお酒と肴と美女平の素晴らしい風景。

どう時間が流れているのかまったく意識することもなく、格別な時間は緩やかにひっそりと流れていきます。

残ったお酒は持ち帰って、あらためて味見しよう。

そう思いながら杯を傾けていたところ……

カラ~~~ン!!!

ファーーーーwwwww

なんと、いつの間にやら飲み干してしまってました。

あるのん

ちょ…森の精霊さん、こっそり持っていき過ぎじゃない!!?

気がつけば、意外と多くの時間が過ぎ去っていました。体感的にはアッという間だったのですが、それだけ周囲と一体になって楽しめたということに他なりません。

ふたたび美女平駅へ

「あの一時は現実のものだったのか?」という余韻に浸りながら、美女駅へ戻ってきました。

美女杉ちゃんに、お礼とお別れの挨拶をしておきましょう。

あるのん

いよう、美女杉ちゃん!あれ?さっきより化粧濃くなったんじゃない?ははーん、今夜彼氏とデート?

あるのん

そんな無視しちゃって連れないなあ。あ、もしかして彼氏と別れたとか?僕にもワンチャンある!?フェッフェッ

なんと、酔っ払いあるのん。セクハラオヤジと化していた!!

あるのん

へへ、このラインがたまんねえよな~

控え前に言って超サイテー。

美女杉ちゃんにセクハラの暴挙を尽くしたあるのん。

恐らくこの記事で、全女性に飽きられてしまったことでしょう。

この2018年、「女性が最も上司にしたくない男ナンバー1」とは、このあるのんのことじゃい!!

最高のお酒は最高のロケーションで

最後に馬脚を現してしまいましたが、最高の日本酒を最高のロケーションで味わうという発想そのものは、とても有意義なものでした。

我々はお金さえ出せば、世の中にあるほぼ全てのお酒を購入できます。

しかし造る人にとっては高価な材料さえ使えば、それで絶対に良いお酒が出来上がるというものではありません。

あなたにとって最高の日本酒といえるようなお酒がもしあるのなら、ぜひ最高の景色の中でいただいてみてください。

家やお店で飲むのとは、まったく違う魅力がそこにはあることでしょう。

ぼくは、そのうちきっと訪れるであろう、美女杉ちゃんが人間に戻ってセクハラで告発されたときのために示談金を貯金していこうと思っています。

それでは皆さん、いつの日か森の中でお会いしましょうね。

8 Comments

あるのん

麻〇太郎さん、コメントありがとうございます。
え、ならもっとやっちゃっても良かった感じですか!?
また行かなきゃ…!

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タカキ

これは絶対に酒が美味いし本当の贅沢ですな♪
まあ邪道ながら平日休みの時の昼間に労働者見ながらのファミレス飲みとか労働者見ながらのコンビニ前飲みとかも相当美味しいですよw
まあ視線は痛いですけどね…

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くまさん

あるのん様
素晴らしい記事をありがとうございました!!
最高です!大興奮です!
来月あたり、一升瓶をかかえて美女に逢いに行きたいと思っております

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あるのん

くまさん、こんばんわ。
そう言っていただけてとても嬉しいです!
せっかく行く気になったところで大変に恐縮なのですが、美女平駅付近では6月5日に熊が出没して重症を負った人がいます。
なので、一部の遊歩道は現在閉鎖中とのことです。
ぼくがくつろいでいたところはバスが通る道から入ってすぐのところですが、熊が見つかるまではやはり危険なので、立ち入り禁止が解除されるまでしばらくは控えたほうが良さそうですね…。
もし今度行かれるときは、熊スプレーは高価なのでなかなか難しいかもしれませんが、熊鈴くらいは持っていったほうがいいと思います。

にしても、一升瓶はさすがに多すぎでは……(笑)

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