埼玉に旨い独自グルメはあるのか問題！？大宮のおもしれえ飲み屋「鴻月」

こんにちは、今日だけ埼玉人あるのんです。

ぼくは富山にウン十年住んでいて「富山人」とか名乗ってますが、小2までは埼玉に住んでいました。

当時住んでいたところは近所に小学生がいっぱいいて、みな仲が良くてすごく楽しかった思い出があるのですが、ここ近年ふと思い出したことがあります。

それは、埼玉で普段家で食べていたものがまったく思い出せない･･･ということです。

思い出せないことを思い出したというのも変な表現ですが、思い出せるのは家族ですき焼きを食べていたらぼくがぽろぽろこぼしてしまい「もう食べなくていい！」と退場させられたことと、近所の子たちでイナゴをとってきてどこかの家で佃煮にして食べた記憶くらい。

もちろん家では普通に3食食べていたのですが本当に思い出せなくて、姉に聞いてみたら「本当だ･･･何も思い出せない」と驚いてました。

ネットで埼玉の郷土料理を調べてみても今いちピンとこず、ネットゲームのフレンドが埼玉在住と聞けば埼玉グルメを聞いてみたり、飲み屋でたまたま隣になった人が埼玉の人と聞けば埼玉グルメを聞いたりなどしてリサーチを進めてきました。

埼玉人共通の意見としては「埼玉に美味しいものはないよ」というとてもショッキングな内容で、いやいやそれって「富山に面白いところはないよ」的な感じでもしかしたら知らないだけというのもありうるのではないか。

ならば、自分の目で確かめねばなるまい！！ということで埼玉まで行ってみることにしました。

新幹線で大宮駅まで一発で行けるのはありがたい。

大宮駅で場所が超わかりづらい営業所でレンタカーを借り、かつて住んでいた地域まで行ってみることにします。

当時の住所は覚えているのですが区画整理で番地が変わってしまったようでGoogleMapではヒットせず、それらしい場所を探して見るもでっかい道やら住宅やらで見つけることはできませんでした。

でも実際に見に行けば見つかるかも･･･！？という淡い期待を胸にいだきつつ「首都高速」に乗ってビビりながら車を走らせていきます。

通っていた小学校はすぐに見つかりました。

ここのグランド方面から川沿いに下っていって～･･･とそれらしい方角に進みそれらしいところで曲がってみるのですが、やはり見つけることができません。

当時は田んぼばかりだったこの地域ですが、現在は既に田んぼなどまったくなくてこの中から探すのはちょっと無理ゲーすぎたかも。

いや、こりゃ無理だなあ･･･と諦めかかったそのとき！「航空写真の住宅地図でもあればなあ･･･あ！！？図書館に行けばもしかしたらあるのでは！？」と思いたち、地元の図書館まで行ってみることにしました。

10分チョイで到着しさっそく検索機で「地図　草加市」と検索し地図コーナーを物色するも、マップル的な本ばかりで詳細なところまではわからない地図ばかり。

住宅地図はないのかなあと思って今度は「住宅地図　草加市」と検索したら･･･なんと出てきた！！しかも1988年版！！これなら行けるかものでは！！？

その住宅地図は「閉架」という普通に並べてはない本なので所定の手続きをすることで書庫から持ってきてもらえました。

キターーー！！！

ちゃんと昔の住所で載ってるー！お隣さんの名前を見つけたときはものすごくドキドキしました。まるで探偵かストーカーかというような勢いですが、執念が実ってついに家を特定することができました。

懐い･･･

しかし昔の印象よりも家が小さく見えて、道路もめっちゃ狭く感じる。身体が小さかったからかな。

そして、よく遊んでいた川は完全に用水になってる。

当時は普通に河原があって、石を投げて水切りしてたくいらいには大きな川でした。メダカもいた気がするしザリガニもいたらしい。イナゴはこの用水の向こう側でとっていた記憶がありますね。

今回訪れてみて変わった部分が圧倒的に多かったですが、でもほんのり昔のままの部分も見られたりしてそこは本当に懐かしかったです。

でもまあぶっちゃけ、見たからなんだということもないのですが、積年の何かがスッキリした気がするので行ってみて良かったかなと。

スーパーに寄る

埼玉の郷土料理とか地元民が普段何を食べてるのかまったくわからないのでスーパーに寄ってみることにしました。

ぼくは県外に行ったら必ずその地元のスーパーに寄るようにしています。スーパーに行けばその土地が普段どんなものを食べているかわかるからです。

で、近場のスーパーに寄ってみたところそこは小さなスーパーだったのですが、なんと他の地域でも食べられそうな食材しか見当たりません。

埼玉でないと食べられなさそうな食材や料理は一切なかったことをここに報告しておきます。

大宮で飲む

さあ、後は埼玉で美味しいものを食べるだけ！埼玉独自のグルメがあるのかどうかは依然として謎ですが。

昔住んでた草加市界隈で飲めて泊まれるところがあれば一番良かったのですが、その周辺にはホテルも飲み屋もないっぽいので大宮駅周辺を根城にしたいと思います。

大宮駅周辺には星の数ほど飲食店がひしめいていますが、今回はせっかくなので「ふるさと料理」を売りにする飲み屋に行ってみたいと思います。

口コミで見る限りでは、そのふるさと料理が果たして埼玉の郷土料理のお店かどうかはわかりかねるのですが、色々調べた中では唯一希望が････ってあるぇええええ！！！？？

なんとそのお店、盆休みなう･･･

こうなるともう完全に行き当たりばったりというプランに･･･

大宮駅周辺には焼き鳥・おしゃれな居酒屋・寿司屋・沖縄料理・中華料理などなど、飲食店はむちゃくちゃあるのですが、どのお店も良さそうではあるけどぼくが今求めているお店とは違う。

穴場のお店はメイン通りの華々しいところではなく、路地裏に入ったところにポツリとあったりするものです。

ちょっと細い道に入ってみると･･･

おおっ！？何やら香ばしい雰囲気が漂っているではありませんか。

この店構え！もう見た瞬間にビビビと来ましたよ。これは色んな意味で楽しいお店に違いありません。

味どころ 鴻月

鴻月は昭和40年創業で、旦那さんがご健在のときは寿司屋だったとのこと。

現在は80歳になるママさんが一人で切り盛りしていて、座席はカウンターが5～6席ほど、テーブル席もあるけどペットボトルやお酒などが雑然と並んでいてほぼ使用できない状態に。

生ビールはないけど3種類から選択できる瓶ビールと付きだしの枝豆で乾杯。

密かに2週間ぶりのアルコールだし運転やら何やらで疲れてるので、乾いた身体に染み渡る感がヤバい。うますぎる････

これも付きだし？他のお客さんも含め全員にシラスが振る舞われました。

メニュー

せっかくなので食べたことがないものにしたいということで「生タラのオイル焼き」をオーダー。

日本酒や焼酎のリストは奥の上部に貼ってありますが、貼ってあるからといって必ずしもあるとは限らないのが個人店あるある。

生タラのオイル焼きをオーダーしてしばらく経ちましたが、何やらママさんはトレーで埋め尽くされた冷蔵庫から何かをひたすら探しています。

どうやらタラが見つからないらしい。

おお･･･ 確かに大きな冷蔵庫内は80%以上トレーで埋め尽くされているので、それは確かに正論ではある。

おお･･･確かにそれもまた正論。嫌なら来なければいい。でもそのお店が好きな常連であればこそ思わず助言もしたくなるというもの。どちらが間違っているという話ではありません。

カウンターのお惣菜

カウンターの目の前にはお惣菜が並べられているのですが、他のお客さんがそのお惣菜を無言でよそっておもむろに食べはじめました。

その光景にすごくびっくりしたのですが、後で教えていただいたところによるとこの目の前にあるものは全て無料で食べられるというわけわからん素晴らしいシステムでありました。マジか･･･

手前のは島らっきょうかと思いきや、お姫さまみたいな名前のエシャロット。味噌をつけて食べるとうまい。

常連Cさんがメンマをよそってくれました。このシステム神すぎやろ･･･

厨房でなんか焼いてるなと思ったら、オーダーした覚えのない鮭カマが提供されました。

これは見当たらなかった生タラオイル焼きの代わりに「ないものばかりじゃ申し訳ないから」と焼いてくれたもの。

ぼくは好き嫌いもないし鮭は大好きだからモーマンタイですが、好き嫌いとか何も聞かれずに提供されるというのはなかなかの強キャラっぷり(笑)

日本酒はセルフで

日本酒をオーダーしたのですが、日本酒専用の冷蔵庫がカウンター席の奥にあってセルフサービス（自己申告制）とのこと。

初めてということで勝手がわからないでいると、常連Aさんが冷蔵庫から取り出してくれて、常連Cさんが注いでくれました。

このお店では注ぐ際に嬉しいルールがあって･･･

とっくりに存分に注いだら、お猪口にも注いでいいという神スタイル。

お客さんが買い物へ！？

お客さんが買いに行くとは･･･ でも確かに氷のお店までの距離はわかりませんが店主がお店を留守にするのはちょっとまずい気はする。

程なくして氷を一袋だけ買ってくるミッションを完璧にこなしたように見えた常連Cさん。しかし意外にもその手に持ち帰ってきたのは氷2袋。

と氷のお店で言い放ち、氷を2袋購入してきたという常連Cさん。いったい誰に見栄貼ってんねんｗｗｗ

感動のホヤ

ホヤも富山じゃなかなか見ないので気になって聞いてみた。

すると手に丸ごとホヤを掲げられたので秒でオーダー。ホヤの刺し身とか食べたことない。

しばらくして汁が入ったお椀を渡されました。

「ホヤの汁」だそうで、「ホヤを浸して食べるんですか？」と聞くと、「漬けて食べる人もいるけど、そのままかな」と常連さんが教えてくれました。

飲んでみると、確かにホヤ独特の「磯の香り」が漂うお汁さん。でもつけ汁にするには塩味が足りないので、この汁でお酒を飲むのが最適解かと。

このホヤの刺し身、はっきり言って衝撃を受けました。

これまで食べてきたホヤって塩辛とか乾物とか加工したものばかりで生って初めてだったんだけど、生の刺し身は爽やかな風味の後に磯の凝縮された味わいがやってきて、すっごく食べやすくて美味しかった。

これが富山でも食べれればホヤのファンは確実に増えるよなあと思いつつ･･･けど、富山の白えびも県外にはなかなか流通しないもんなあ。

味に感動したらなるべくお店の人に伝えるようにしています。料理人として褒められて嬉しくない人はいないでしょうから。

一番聞いてみたかったこと

このとき店内にはぼくを除けば常連さん3名とママさんの計4名の埼玉人がいらっしゃいますので、ここでいよいよ確信に迫ってみたいと思います。

今回の記事の前置きに書いたことを聞いてもらった上での質問だったのですが･･･

そう、ぼくもネットで調べててそういうのは見つけたのですが、それって後から狙って作ったものだろうし埼玉である必要がある？とは思いました。

そして、極めつけの一言。

ネットのフレンドに言われ、富山で出会った埼玉の人にも言われつつも、どこかで「そんなことないだろう」という思いがありましたが、常連さんや80年埼玉在住のママさんにそう言われてしまうと、もうぐうの音も出ません。

ネットのフレンドは「うどんは一応名物かな」と言ってたのでそれを常連さんに伝えると「ああ、熊谷うどんはそれなりに有名」と言ってたし、昔イナゴを近所で佃煮にしてもらったというと「今でもイナゴを売ってるお店はある」とのことでした。

今まで意識したことなかったけど、確かに羽はちょっと抵抗あるよなあ～

常連Cさんがオーダーした刺し身。「ぜひ食べてみてください」と何度も勧められたのでありがたく頂戴いたしました。さらに日本酒も一杯ゴチになってしまいました。あたたけえ･･･（ ；∀；）

でも常連Bさんに対しては「イカ一切れくらいなら食べていいぞ」的ことを言ってたり、以前Bさんが一升瓶を落としてしまったのを今だに「こいつ一升瓶わざと落とすからな～」とネチネチ責めたりしてて、思わず･･･

と言うと、ちょっとはにかんだ感じになったのが個人的に萌えポイントでした。

客層的には「空襲で育った世代」もいたりしてアラカン超えの方ばかりでしたが、皆さん本当に気さくで初見のぼくの話も真剣に聞いてくださって、とっても楽しいひと時を過ごすことができました。

いえいえ、こんな楽しいお店を見つけることができた自分を褒めたい(笑)

やっぱ一人飲みは距離感の近いお店がマストですよ。

驚きの会計

そろそろということで会計してもらったのですが、一番左の桁が6に見えたので6,400円かなと思い一万円を出したら･･･

と言われたのでよくよく見てみたら･･･ なんと、1,400円らしい。

えええ！？付きだし、瓶ビール2本、日本酒1合、鮭カマ、ホヤ･･･ どう考えてもその値段にならないかと･･･

キツネかたぬきに化かされたのかと思ってしまいますが、他のお店にはないあの楽しさはまさに本物。

埼玉に行く機会があったり東京に行くけどちょっと大宮に寄り道してもいいかなという人は大宮駅から徒歩5分の距離なのでぜひ立ち寄ってみていただけたらと思います。

鴻月の最高の調味料は「人」ですので、楽しいひと時を過ごしたい人はぜひどうぞ！ぼくもまたぜひ訪れたいお店です。

どうもごちそうさまでした！