ドンペリの巨匠が立山町の白岩地区で新時代の酒造りに挑む

こんにちは、富山人あるのん@_arnon_です。

日本酒好きにとっては気になってしょうがないあるニュースが世間を賑わせています。

フランス人のリシャール・ジェフロワという人をご存知でしょうか。

リシャール・ジェフロワ氏とは何者?

リシャール・ジェフロワ氏は1954年生まれのフランス人。

シャンパーニュ地方でワイン醸造を営む家系に生まれ育ち、医師になるために医学博士号を取得します。

しかし医師の資格を取得した瞬間「土」に対する想いが高まっていき、自分のルーツはそちらにあるのだと1982年にランスの国立葡萄醸造学校に入学。

そして1990年、シャンパンの世界的ブランドであるドン・ペリニヨンの醸造最高責任者(シェフ・ド・カーヴ)の5代目に任命されるのです。
 
通称「ドンペリ」の醸造最高責任者を28年間の長きに渡って努めたのがリシャール・ジェフロワという人なのです。
 

そんな彼が華々しく引退したその先に見据えていたものは、なんと日本酒づくりでした。

氏は「生涯の最後は日本酒づくりにかけたい」とその意気込みを語っています。

ジェフロワ氏が選んだその地は富山県立山町

富山県民的に驚きだったのが、酒造りの拠点に富山県の立山町白岩・芦見地区を選んだということではないでしょうか。

富山には3,000m級の霊峰立山があり、ミネラルたっぷりの雪解け水が流れ、磨かれた水がたっぷり供給される栄養満点の富山湾があります。

確かにこれほど自然の恵み豊かな土地もそうないでしょう。実にいいところに目をつけましたね!(嬉しい)

リシャール・ジェフロワ氏は日本酒に対して大きなリスペクトを持っていて、日本酒づくりにはずっと興味があったと語っています。

需給調整要件の壁

「日本で世界を魅了するお酒を作る」というプロジェクトは実に有意義で素晴らしいことだと思います。

しかしこの日本で新たに日本酒の醸造所をつくるとなると、「需給調整要件」が大きな壁となって立ちはだかりました。

需給調整要件とは、「需要や消費量が下がっている品目の免許は発行しませんよ」というルールのことで、いくらジェフロワ氏が世界的に有名で実績があって素晴らしいアイデアを持っていたとしても、それは例外ではありません。

日本酒の国内消費量はピーク時の3分の1にまで落ち込んでいるので、新たに醸造免許を取得するのは不可能といえます。

そこで、休業中の富山県内の酒蔵メーカーが持つ醸造免許を譲り受ける形で醸造が可能となりました。

立山ブランド海外展開戦略拠点施設

2016年にジェフロワ氏が立山町白岩・芦見地区へ視察に訪れた際、富山湾を見渡せる高台のある棚田が大いに気に入り、立山町や県内の企業も巻きこんだ大きなプロジェクトが動きだすことになります。

立山町は醸造所に隣接する「立山ブランド海外展開戦略拠点施設」を建設することになっていて、そこでは醸造所の見学者へ説明するための研修施設、酒を30万本保管できる貯蔵庫、輸出に関する商談室も設けられます。

社名は「白岩」

 

ブランド名は「IWA(イワ)」となります。

醸造所の設計は世界的な建築家の隈研吾氏が手がけ、お酒のブランドイメージはオーストラリア人のイケメンプロダクトデザイナーのマーク・ニューソン氏という、まさにオールスターのような布陣といえるでしょう。

リゾート施設も近くに建設

醸造所から車で約10分、ハーブ畑が広がる場所に美容と健康のリゾート施設「Healthian wood」が建設中です。

こちらの設計も隈研吾氏によるもので、国内外のセレブをもてなす空間が整えられつつありますね。

2019年12月開業予定。

実際どんなお酒になるの?

酒好きとして一番気になるのが「どんな味の酒になるの?」ということではないでしょうか。

ジェフロワ氏がどんな味の日本酒を目指しているのかという情報はこれまで一切見つけられませんでしたが、11月14日放送のクローズアップ現代で触れられていました。

まず酒造りに重要な酒米は県外から取り寄せるのではなく、「テロワール」の考えに基づき、地元の農家の全面協力によって町産の酒米が使用されることになりました。

ジェフロワ氏の酒造りはドンペリ時代で培われた技術を大いに取り入れたものになるようです。

それは「アッサンブラージュ」というブレンドの秘術で、複数のお酒を混ぜ合わせるドンペリのような究極の酒を造りだそうとしているのです。

これまで日本酒でブレンドといえば、せいぜいタンクごとの味の違いを均一化させたりするくらいのもので、あまり積極的には行われていませんでした。いわば守備的なブレンドでしょうか。

ジェフロワ氏の造る酒は味や香りが異なる酒をあえて混ぜ合わせることで、対立させたり補い合わせたりしながら素晴らしい調和を生み出そうとしているのです。これは攻めのブレンドといえるでしょう。

アッサンブラージュを実現させるために、ジェフロワ氏は3年かけて下準備を進めてきました。

ブレンド用のお酒は富山県の老舗酒蔵に特注し、酒米の品種や酵母などはすべてジェフロワ氏の指示通りに造られ、出来上がったお酒のブレンドの配合を決めるのに半年間費やしたとのこと。

ジェフロワ氏いわく、「これまでの日本酒は飲んだ後に味や香りが徐々に弱まっていくのに対し、私の酒は人々がその酒を口にすると、味や香りの特徴がどんどん強くなり、ふくらみを増すのです。」とのこと。

ぼくにはまったく味の想像はつきませんが、ジェフロワ氏にはハッキリと味のイメージができています。これはぜひ飲んでみたいですよね。

建設予定地に行ってみた

豊かな自然と棚田と住宅がまばらにある、のどかな土地です。

近くには白岩ダムもありますが、現在は外側からしか見られないようになっています。

場所がよくわからなかったので怪しげに徘徊していたところ、やっとのことで見つけることが出来ました。

この看板が目印。(数カ所に立ってるけど)

おっ、あれがそうかな!?

おお・・・ ついに見つけた。

工期が来年3月25日までってなってるけど、積雪とか考慮されてるのかしら。

確かに見晴らしがいいですよ。

これからこの地でどんなすごいことが起こっていくのか、富山県民だけでなく日本中が、いや世界のセレブたちからも注目の的となることでしょう。

真のラグジュアリーを極める日本酒が、立山町から世界へ向けて旅立つカウントダウンは既に始まっています。

ジェフロワ氏はテレビの中でこう言いました。「立山が世界の中心になる」と。

再来年の秋に最初のお酒が出荷予定とのこと。目が離せませんね!

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメント一覧 (10件)

  • 宣伝下手な奥ゆかしい富山県人にとってありがたいです。でも観光客に溢れないのがいいかな。

    • どうもこんにちは。
      色んなメディアが取り上げてくれますからね。
      ぼくとしては多くの人にやってきてほしいです。
      とにかく今後が楽しみですよね!

    • BS1で見ました。故郷の隣町なので興味は尽きません。一度行きます。

      • 昭ちゃんさん、こんにちは。
        故郷の隣町ということならより気になるというものですね。
        ほんと楽しみですよね~!

  • ほう、初めて聞いた話ですが面白そうですな
    そして出来上がる酒が楽しみですね

    • どうもこんにちは。
      いやもう話がすごすぎて、面白すぎますよね。
      かつてない日本酒になるようなので、どんな味になるのか実に楽しみなところです。
      唯一の不安があるとすれば、ぼくのような庶民の口に入るのかどうかくらいでしょうか(笑)

    • どうもこんにちは。
      あと1ヶ月ほどで建つらしいですが、順調なんでしょうかねえ~(ドキドキ)

    • 石田勝幸さん、こんにちは。
      本当に大成功してほしいですよねえ。
      そうなれば必然的に富山の知名度も・・・フヒヒ

コメントする