こんにちは、富山人あるのんです。
富山県射水市には、自然に囲まれた落ち着いた環境で陶芸が楽しめる施設があります。
目次
射水市 陶房 匠の里
こちらの施設は陶芸に興味がある人だけでなく、食器としての陶器に興味がある人や、お子さんと一緒に楽しめる遊び場を探している人にも必見の施設ですよ。
今回の記事では、陶房匠の里に通いはじめて陶芸歴が今年で7年になる友人に案内してもらいながら、ざっくりとご紹介していきたいと思います。
展示棟
こちらの棟では「陶友会」会員や県内で活躍する陶芸家の作品が展示されていて、一部販売されている作品もあります。
各種体験コースの受付もこちらになります。※要予約
まず作品を見てみまわってみると、陶芸と一口に言ってもその作風やジャンルは実にバラエティに富んでいることが伺えます。
おおっと、友人の作品もありました。
一人だけやたら面積をとっている気がしないでもありませんが、深い色合いと複雑な模様が印象的な美しいお皿です。
このお皿はいったいどんな料理を乗せる想定なのでしょう?
ちょっといいお店のコース料理で、大きなお皿にちょこっとだけ料理が盛りつけられてたりすると高級感が増しますが、和食にもすごく合いそうですね。
豊富な体験コース
半日陶芸体験コース
初心者向けの半日陶芸体験コースに‥
おもいで作りのメモリアルプレートに‥
月ごとに変わる企画陶芸など、初めての人でも楽しめる体験コースがたっぷりと用意されています。
※要予約
じっくり陶芸をはじめてみたいという人向けに定期コースもばっちり揃っていますよ。
メモリアルプレート作りは需要が高そうなのですが、ぼくが今回施設を見学させてもらって「これは親子ともに楽しめるなあ」と思ったのがこちらです。
月替り企画 体験コース
大人も子供も、真剣な面持ちで作っているのものは‥
そう、はにわです!
こういう体験って大人にしても小学生の頃に一度やったっきりという人が多数派かと思われますので、経験値的には大人も子供もほぼイーブン。これは静かに燃える案件ではないでしょうか。
大人も子供も皆さん真剣に取り組んでいたのがとても印象的でした。
強そう・・・
お母さんの承諾をいただきご登場いただいた少年の作品からは、エキゾチックな王者の風格が感じとれます。
か、かわいっ!
こちらの少女は小さな可愛いはにわを量産されていましたが、卓越したデザインセンスを感じずにはいられませんでした。
作品が焼き上がって完成するまで約一ヶ月。
いったいどんな作品に出来上がっているのか、きっとソワソワとワクワクの一ヶ月となるのでしょうね。
陶芸定期コース
もちろん「しっかり陶芸をやってみたい」という方向けのプランも充実しています。
これだけ細やかなプランがあるのなら「やってみたいけど忙しくてなかなか・・・」という人もどこかで参加できるのではないでしょうか。
ちなみにTAKは金・土コースを経て「匠コース」へと移行しました。まずはどんなプランでも始めてみることが何より大事。不明な点があれば指導員さんにビシバシ訪ねていきましょう。
土を練る~成形
やはり陶芸と言えばやはり「ろくろ」は外せませんよね。ろくろを回してみたい憧れってわりとありませんか?
乾燥~素焼き
陶芸は一般的に素焼きと本焼きと2回焼くことになるのですが、一回目の素焼きは約700~800度くらいで焼きます。
こちらは電気窯。
部屋の奥にある銀色の物体は灯油窯になります。手前にあるバケツは何だと思いますか?
これらのバケツの中身は釉薬(ゆうやく)で陶器を覆うガラス質の膜になるのですが、平たく言えばこれらの釉薬で「色づけ」を行います。
トルコ青とか、そばとか、ナマコとか、名前のつけ方に独特のものが感じられて面白いですね。
う~ん、確かに・・・!?
でも実際に焼くと色合いがぜんぜん変わってくるらしいし、器のサイズも1割ほど縮むとのことで、狙いどおりの陶器に仕上げるには相当な経験を要すかと思われます。
でもそこがまた難しくも面白いところなのでしょうね。
釉薬は組み合わせて使用できるのですが、でも何をどう組み合わせればどのような色になるのかなんて普通わかりませんよね・・・
釉薬の重ね掛け色見本
なるほど、これはわかりやすい。
わかりやすいけど・・・どう使っていいのかさっぱりわからん!!
わからないうちは指導員さんの助言をいただきつつ経験値を積むのが吉と思われます。
釉薬は素手で直接投入することもあれば器具を使用することもあり、何が正解・不正解とかではなく、自分の作りたい物にマッチしたやり方を選択するということになるのでしょうね。
※体験コースでは釉薬がけや削りの作業は指導員さんによって行われます
完成まで約一ヶ月
一ヶ月後には作品が仕上がっていますので、展示棟の受付まで引き取りに伺いましょう。
住まいが遠方だったり引き取りが難しい場合は、有料での宅配も可能です。
なお、1年が経過しても引き取りされなかった場合は施設にて処分となりますのでご注意くださいませ。
匠の里 陶友会作品展
匠の里では定期的に「匠の里 陶友会作品展」が催されています。
陶友会の会員や指導員による作品が一同に集まる展示会となっていて、販売も行われています。
どの作品も個性的で素敵ですねえ。
おおっと、TAKの作品も売られているではありませんか。
手前のちっちゃなお皿って、醤油入れにしては小さすぎるような?
薬味用のお皿とはまた面白いですなあ~
この陶芸祭では他にもたくさんの素敵な作品が展示されていて購入することができます。食器や酒器などに興味がある人はぜひ訪れてみていただけたらと思います。
しかし今回陶芸祭に訪れてみて感じたのは、お客さんもまばらで「もうちょっと宣伝に力を入れてもいいのでは?」と少々もったいなく思いました。
予算がかけられないのならSNS頑張るとか、人の集まるところで売ってみるとか、その予算が足りないのならどこかと共同で開催するとか。
せっかくの作品なので、もっといろんな人に見てもらってもらったほうが作った人も嬉しいですよね。
匠の里は2022年4月より指定管理者が㈱ジャパンフラワーコーポレーションに移っていますが、それによって「花まつ」との花コラボが今後行われていく予定とのことで、今後の動向に期待しましょう。
「匠コース」の工房に潜入
本格的に陶芸を楽しむための上級コース「匠コース」は専用の工房が用意されています。
匠コースは開館時間内であれば好きなときに訪れて陶芸に打ち込めるので、すべてのコースの中でもっとも自由度が高いコースとなっています。
それだけに匠コースには指導員もおらず、焼成も自分たちで行うという完全に自立した工房なのですが、ぼくが感じた限りでは何かあれば周りの人たちが自然に声をかけてくれるような、そんな温かな雰囲気に包まれていました。
さらに匠コースは「陶友会」の会員として展覧会にも参加できるということで、それは「自分だけで楽しむ作品づくり」から「人にも見てもらう作品づくり」という意識の変化をもたらし、陶芸のモチベーションがより高まる要素となり得るのではないでしょうか。
匠コースの工房 粘土工芸センター
この建物が匠コース専用の工房で、他のコースとは完全に隔離されています。
陶芸を行うための設備は釜も含めてすべて揃っています。
匠の皆さんはそれぞれ思い思いの作業に打ち込んでいました。
窯出しの立会い
本焼きを終えた陶器を釜から取り出すことを「窯出し」といいます。
この日は窯出しの場面に運良く立ち会うことが出来ました。
素焼きの温度は700℃~800℃ほどですが、本焼きは1200℃以上の温度で焼きあげます。
一気に焼いたり冷ましたりすると割れやすくなるので焼くのも冷ますのもゆっくりと時間をかけて行われますが、その時間がまた愛おしかったりするのでしょうね。
さあ、今から扉が開きますよ!
おおお・・・ちゃんと出来てる!!…ってそりゃそうか。
レールがついているので作業しやすいように前へ移動させます。
匠の皆さんも集まってきてソワソワしている雰囲気がぼくにも伝わってきました。
そりゃあ作品の出来栄えが気にならないはずはありませんよね。
匠の皆さんが手際よく作品を回収していくのですが、土台となる板と足はただ乗っかっているだけなので、作業には慎重を要します。
陶器を取り出していくとその見事さに感嘆の声があがったり、かと思えば「思ったようにならなかったな・・・」という声も聞こえてきたりと、窯出しは運命の分かれ道的な緊張感があります。
ですよね~(笑)
日本最古の窯「穴窯」
匠コースの工房の向かいに小屋があります。
この小屋の中には穴窯という釜があり、今も年に2回この釜での焼成が行われているとのこと。
日本最古の窯といわれる穴窯はとっても原始的なつくりです。温度は1300℃にもなるということですが、素人目には灯油窯の1200℃チョイとそこまで変わらなさそうな気が・・・
穴窯は大量の薪を使うことで1300℃まで温度を上げて3日以上かけて炊き上げるので、その味わいは電気窯や灯油窯とはまた違ったものになるそうです。
なんでも焼成室と燃料の薪が同じ空間にあることで、薪の灰が絶妙な「自然釉」の役割を果たし作品に深みが増すのだとか。
上の2点の画像は穴窯で焼成された陶器とのこと。言われてみれば確かにそれらしい特徴が感じられます。
釜だけで3種類もあるというのも初めて知りましたが、実はさらに「ガス釜」なる窯も存在するそうです。
今回の記事を書くにあたって、陶芸そのものの知識はまったくなかったのですが、それだけにとても興味深い取材となりました。
器は使ってナンボ!?
美しい器は見ているだけでもいいものですが、やはり器は使ってナンボのものだと思うんですよ。
お手製のジョッキにビールをそそぎ入れるTAK。
食において器ってすごく重要ですよね。「自分で作った器で酒を飲む」・・・ 同じ酒飲みとして垂涎たる思いで見つめる他ありませんでした。
このお皿も妙にロールケーキにマッチしています。料理とお皿の関係って、足し算ではなくて掛け算ですよね。
おわりに
今回取材させていただいて、陶芸とは「粘土を伸ばして成形し、乾燥させ、素焼きして、釉がけを行い、最後に本焼き」という流れであることは理解できましたが、それと同時に陶芸の難しさや奥深さというのもまた垣間見えた気がします。
ぼくがもし陶芸をはじめたなら「確実に酒器しかつくらない」未来しか見えませんが、ちょっとでも気になったという人はぜひ「陶房 匠の里」の門を叩いてみてはいかがでしょうか。
見学や展示物を見に行くだけでもお気軽にどうぞ~!
な
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